「邪魔!」と怒鳴られ立ち尽くしていると…
驚いて立ち止まってしまったその瞬間、近くにいた女性数人がすぐに駆け寄ってきてくれました。
「今のはひどいですよ。妊婦さんにそんな言い方、ないですよね」
「大丈夫ですか? 無理しないでくださいね」
「気にしなくていいですよ。ゆっくりでいいんですから」
次々に声をかけてくれて、まるで“壁”のように私を囲み、守ってくれたのです。そのやさしい言葉を聞いた瞬間、ぎゅっと縮こまっていた心がふわっとほどけ、涙が出そうになりました。
さっきまで「私が悪いのかな……」と落ち込んでいましたが、味方になってくれる人がいたことで「私は間違っていなかったんだ」と安心でき、気持ちが軽くなりました。帰り道は、悲しさよりも「こんなにもやさしい人がいるんだ」という温かい気持ちで満たされ、心が救われた日でした。
しばらくはスーパーで買い物をするのが少し怖く感じましたが、あのとき助けてくれた人たちの姿を思い出すと、不安がすっと和らぐようになりました。そして私自身も、困っている妊婦さんや子ども連れのママを見かけたときには、そっと声をかけたり手助けしたりするようになりました。
◇ ◇ ◇
妊娠中は体の変化だけでなく、周囲の視線や言葉に心が揺れることもあります。そんなとき、たったひと言の思いやりや行動が、大きな支えになることも。困っている人を見かけたら、無理のない形でそっと寄り添える社会でありたいですね。
著者:柴田 舞/40代 女性・会社員。5歳の子どもを育てるママ。趣味は映画鑑賞。
イラスト:さくら
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)