ビジネス常識クイズ:「退職願」と「退職届」の違いは?
社会人として知っておきたいビジネス常識に関するクイズです。
会社を辞める際に提出する書類には、「退職願(たいしょくねがい)」と「退職届(たいしょくとどけ)」の二種類があることをご存知ですか?
両者は似ていますが、法律上の効力と、一度提出した後の「撤回(撤回)」ができるか否かという点で、決定的な違いがあります。
次のうち、「退職願」と「退職届」のどちらが、提出後に原則として撤回(キャンセル)できない書類でしょうか?
① 退職願
② 退職届
③ どちらも撤回できる
正解は……

②の退職届でした!
原則として、一度受理された「退職届」は、撤回(キャンセル)することができません。一方の「退職願」は、会社が承認するまでは撤回が可能です。
豆知識:撤回の可否を決める「意思表示」の違い
「退職願」と「退職届」は、その書類が持つ法律上の意味合い(意思表示)が異なります。
提出の正しい流れ
円満退社を目指す場合は、まず会社に退職の意向を伝え(相談)、合意を得てから「退職願」を提出するのが一般的な流れです。
もし話し合いがこじれて、会社が退職を認めない場合は、労働基準法に基づき「退職届」(雇用契約の解除通知)を提出することで、法律的に退職を成立させることができます。
豆知識:契約解除の意思表示が固い「辞表」とは?
「退職願」「退職届」と並び、「辞表(じひょう)」という言葉もありますが、これは一般の社員が使う書類ではありません。
「辞表」は、主に役員や公務員(公の地位にある人)など、「雇用契約」ではなく「委任契約」に基づいた地位にある人が、その地位を辞めるために提出する書類を指します。
「退職届」と同じく、強い「契約解除の意思表示」の意味を持つ書類です。
ニュースの理解度UP:「辞任」と「更迭」の違い
Jリーグや政治のニュースを見ていると、「監督が辞任した」「大臣が更迭された」といった表現がよく出てきます。
どちらも「役職から退く」という意味ですが、その「誰が」その決断を下したかという主体が全く異なります。
この違いを知っていると、ニュースの背景にある力関係や責任の所在が明確に見えてきます。
サッカー監督の例
・辞任: 「成績不振の責任を取り、監督が自ら辞表を提出し、役職を退いた。」(自発的な退任)
・更迭: 「クラブが低迷から脱却できないため、社長が監督を呼び出し、契約を解除した。」(強制的な解任)
豆知識:最も重い「罷免(ひめん)」とは?
「更迭」よりもさらに重く、厳しい意味を持つのが「罷免(ひめん)」です。
・罷免(ひめん): 役職にある人の過失や犯罪行為など、懲罰的な理由で強制的にその職を解くこと。公務員や、内閣総理大臣が閣僚を解任する際など、特に責任が重い場合に用いられます。
「辞任」→「更迭」→「罷免」の順で、本人の意思から遠く、懲罰的な意味合いが強くなります。