「自由になった」母
母が近所に引っ越し、第二の人生が始まったものの、当初は母が不安を見せないように気をつかい、お互いに距離を計りかねていました。しかし、母が仕事を再開したことで生活にメリハリができ、自立と自信を取り戻すことができました。
きっかけは子どもたち(私と弟たち)が全員家を出て、別の場所に住むことが確定したことでした。母がひとりで住むには大き過ぎる家、維持していくのにも、将来処分するのにもお金がかかります。また、当時母の病気が見つかって、手術の際は私が帰省しお世話していたものの、子どもが離れた場所に住んでいることに、母も不安を感じたのだと思います。

引っ越してよかったことは、母が「家」の維持や過度の人付き合いから自由になれたことでした。実家にいるときは、周りは知り合いばかり。「いつも誰かに見られている」という感覚があったんだそうです。今は好きな服を着て、好きな場所に行って、好きな人とだけ交友関係を保つことができ、厄介なもめ事などからは距離を置いて暮らせています。
また、早めに家を処分したことで、将来私たちきょうだいがしなければならないことが減りました。実家を片付けるのも、処分するのも、20年後30年後におこなうのは肉体的にも経済的にもとても大変になるはずです。大きな決断でしたが長い目で見て、いつかよかったと思えるといいなと思っています。
覚悟の上で受け入れたデメリット
もちろん、うまくいかないことや不安なこともあります。母は周りの目から自由になった半面、ちょっと隣近所に行っておしゃべりするという環境ではなくなってしまいました。また、母に何かあったら私がケアしなくてはなりません。そのプレッシャーは常に感じています。ただ、それは覚悟の上でしたし、悩んでも仕方のないこと。母が実家に住み続けていても、状況は同じだったと思います。なるべく気負わず、今は母との行き来を楽しむようにしています。
土地勘のない場所に還暦を過ぎてから引っ越し、一つひとつ新しいことに挑戦している母。手芸教室に通い始めてみたり、私と旅行に出かけたりと、なかなかアクティブです。そんな母の老後(?)を見ると、私もまだまだいろいろなことに挑戦できる!と元気が出ます。
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実家をたたむという決断は、親の不安や子のプレッシャー、経済的な問題など多くの課題を伴いました。しかし、この経験から得られたメリットは、家族全員の自由と将来の安心感。この壮大な体験を通して、ご自身の親との関係や終活について、一歩深く考える時間を持つきっかけになればと思います。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
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