妻子を義実家に放置する夫
年末に夫の実家に帰省するのは、恒例行事です。親戚一同が集まって飲み会が開催されるのを、夫は楽しみにしています。娘が生まれて初めての年末。生後7カ月の娘を抱えて3人で義実家に帰省しました。ただでさえ、義実家は私にとって気を遣う場所。夫婦だけで訪れていたときも、常に気を配りゆっくり落ち着けたことはありません。毎年の私の疲労具合に夫も気づいているはずだと思っていたのですが……。
義実家に到着すると、早速義母から「今日の夕飯どうする?」と聞かれました。すると夫は、「俺、今日飲み会だからいらない」としれっと言ったのです。私は何も聞かされていません。「はぁ? 聞いてないよ」と思いっきり夫を怒りたかったのですが、ここは義実家……。夫を溺愛している義母も「あら、そうなの。楽しんで」としか言ってくれず、私からヘタなことは言えません。
娘は生後7カ月でちょうど人見知りが始まり、義母にもなかなか懐いてくれない中、夕飯の時間になりました。夫は全く悪びれる様子なく「行ってくるね」と飲み会に出発。私は気を使う義実家での慣れない育児に奮闘しながら、つくり笑いで夕飯のテーブルにつきます。1時間半もかけて新幹線に乗ってきていた私は既に心も体もヘトヘト。
そんなとき、義父が仕事から帰ってきました。私と娘を見ると「おお、いらっしゃい。よく来たね」と笑顔で言ってくれました。そして、リビングに夫がいないことに気がつきます。「あれ? あいつは?」と尋ねると、「中学の同級生と飲み会に行ったわよ」と義母が伝えました。それを聞いた義父は「あいつは、妻と娘を残して飲み会に行ったのか! あほだな」と少し怒った様子。義母が「そのくらいいいじゃない。ねぇ?」と私に同調を求めてきましたが、いいわけないでしょ! と思いつつも空気が悪くなることを恐れて「えぇ、まぁ……」と苦笑いするしかありません。結局、夕飯後、私はひとりで娘をお風呂に入れて、寝かしつけました。
翌朝、リビングにみんなが集まる中、深夜1時くらいに帰宅していた夫は、ひとりだけ遅れて現れました。すると、夫がリビングに顔を出すやいなや、義父が夫の胸ぐらを掴んだのです! 「おい! お前はここに娘と妻を放置してなにをしとるんじゃ!」と義父。夫は床に正座をさせられて、なんとお説教が始まりました。
義父は「〇〇さん(私)ひとりに子ども任せるのは無責任だ! ましてや義実家で気を使うことぐらい想像できんのか!」と怒鳴る義父に対し、義母は「まぁまぁ……」となだめようとしますが「お前こそ嫁の目線になってやるべきだろう」と一喝。そして夫に「妻子を置いて飲み会に行くくらいなら、お前、来年からは年末帰省してくるな! 親戚の飲み会も来なくていい!」と10分程お説教をしてくれたのです。年末の親戚一同が集まる飲み会が大好きな夫は、これにはショックを受けた様子。
その後夫は、「置いていってごめん。配慮が足りなかった」と私に謝罪してくれました。
以降、年末の帰省時は、思いやりの姿勢を見せてくれるようになり、どうしても同級生との飲み会に行きたいときは、娘をお風呂に入れて寝かしつけまでしたあと、遅い時間に行くようになりました。
帰省時に地元の友だちと飲みに行きたい気持ちはわかります。しかし、義実家に残される妻子になんの配慮もなく、自分勝手に予定を決めて行くのは思いやりに欠けているのではないかなと思います。義実家の帰省では、お互いに相手を気遣って行動することが大切だと感じた出来事です。
著者:中野さやか/30代・会社員。夫と3歳の長女、1歳の長男の4人家族。英語の実務翻訳家を目指して、日々スキルアップに励んでいる。
作画:ひのっしー
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年11月)