義父が招いた善意の行方
義父が60代に入ったころ、長く親しくしていた友人夫婦のご主人が亡くなりました。義父は残された奥さまを気の毒に思い、何かと気にかけるようになったそうです。最初のうちは義母も見守っていましたが、次第に義父がその家を訪ねる機会が増えていったといいます。
義母が見た思いも寄らない光景
当時、義両親の娘は結婚を控えていました。その相談をしようと、義母が義父を探して友人の奥さまの家を訪ねたところ、そこで目にしたのは、まるで自宅にいるかのようにくつろいで居間で寝ていた義父の姿でした。義母は浮気を疑い、その光景を前にしばらく動けなかったといいます。
変わっていった夫婦の関係
その後、義母は義父を責めることなく静かに受け止めていましたが、夫婦の会話は少なくなっていったそうです。年月が過ぎ、義父は70歳を過ぎて脳梗塞で倒れました。そのとき、義母の胸には、長い年月の中で抑えてきた感情が静かに広がっていったように思います。結果的に熟年離婚だけは避けられましたが、義母の気持ちは決して穏やかなものではなかったようでした。
まとめ
義母は、心の奥に残る複雑な思いを最後まで言葉にすることはありませんでした。怒りでも悲しみでもなく、ただ静かに受け止めていたのだと思います。義母の話を聞き、誰も悪気がなかったはずの「善意」が、長い年月をかけて夫婦の形を変えてしまったことに、言葉にし難いやりきれなさを覚えました。人の心の機微は、善意や正しさだけでは測れないということを深く考えさせられた出来事です。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:明野つきこ/60代女性・主婦
イラスト/ほや助
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年11月)
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