こんにちは! 助産師のREIKOです。ママとおなかの赤ちゃんをつなぐ“へその緒”。ママからの栄養を赤ちゃんに運ぶだけではないということをご存知ですか? 今回は、意外と知られていない、へその緒についてお話ししたいと思います。
へその緒の内部ってどうなってるの?
赤ちゃんが生まれると、へその緒は結紮(けっさつ)後、専用のハサミで切断されます。生まれたばかりの赤ちゃんのへその緒をよーく見ると、断面が見られるかもしれません。
へその緒には、臍動脈2本、臍静脈1本が通っています。大人の場合、動脈には動脈血が、静脈には静脈血が流れていますが、臍動脈には静脈血が、臍静脈には動脈血が流れているんですよ。そのほかに、尿嚢と卵黄管の痕があります。臍動脈が目、尿嚢と卵黄管の痕が鼻、臍静脈が口……と、人の顔のようにも見えます。
これらの血管を保護するために、Wharton膠質(ワルトンこうしつ)が周囲を囲んでいて、さらにそれを赤ちゃんを包んでいる膜の一部が覆っています。
へその緒を流れる血液
へその緒の中の血管は、ママからの栄養や酸素、赤ちゃんからの老廃物や二酸化炭素を運んでいます。へその緒の血管を通る血液、誰のものだと思いますか?
へその緒の血管に流れている血液は「赤ちゃんのもの」です。へその緒の血管が胎盤にあるママの血液に浸っているような構造になっていて、そこで栄養や酸素、老廃物や二酸化酸素を交換するので、ママと赤ちゃんの血液が混ざることはないんですよ。
この血液は、臍帯血(さいたいけつ)と呼ばれます。出産時に臍帯血を検査することで、生まれた赤ちゃんの状態を評価する情報のひとつになります。また、臍帯血には、血液細胞のもとになる細胞が多く含まれていて、血液の病気の治療に使われたりしています。また、再生医療への活用も期待されているんですよ。
ちょっとやそっとのことなら大丈夫!
へその緒の中の血管はらせんを描くように伸びていて、それを包んでいるワルトン膠質も少しねじれたようになっています。こうすることで、伸縮性に富み、圧迫にも強いという特徴があります。
なので、おなかの中の赤ちゃんが動いても、基本は切れることはないですし、赤ちゃんがへその緒を踏んだり、握ったりしても大丈夫なようになっているんですよ。
へその緒を取っておくのはなぜ?
生まれたばかりの赤ちゃんについているへその緒は、早ければ生後1週間、だいたい2~3週間ほどで自然にとれます。日本ではこのへその緒を保管しておくという風習がありますよね。産院によっては、へその緒が取れる前に、胎盤側のへその緒の一部をカットしてお渡ししているところもあるようです。
へその緒を保管するのには、ママと赤ちゃんとの絆を大切にするという意味や地域によってはさまざまな言い伝えがあるようです。私が病院で働いていたときも、へその緒をカットしてお渡ししていましたが、それでも赤ちゃんのへその緒が取れそうになっているときは、なくならないように細心の注意を払っていましたよ。
赤ちゃんが生まれたら、役割を終えるへその緒ですが、ママにとっては、「おへそのケア」というちょっと難題もありますよね。産院によって、乾燥を推奨するところと消毒を推奨するところとあります。退院前に確認しておきましょう。