自分勝手な親子
私には幼稚園の年中で、4歳の息子がいるのですが、ある時期から「幼稚園が楽しくない」と言うようになりました。同じクラスの女の子Aちゃんが息子に好意を寄せており、他の子と遊ぶのを制限されるのが理由のようです。ブロック遊びがしたくても、苦手なおままごとを強要され、自分の好きな遊びができず、ストレスを抱えている様子でした。どこまで親が介入すべきか悩みましたが、担任の先生に相談。先生もその状況を把握していたようで、注意深く見守ってくれることになりました。
先生の計らいもあり、息子はAちゃんとの時間も持ちつつ、他の友だちとも遊べるようになったようで、笑顔を取り戻しました。私は「Aちゃんとけんかをしたわけではないみたいだし、子ども同士ではよくあるトラブルかも。こうやって、人との関わりかたを学んでいくのかな」と思っていたのですが……。
今度はAちゃんが幼稚園に行くのを嫌がっているというのです。聞けばAちゃんは息子と将来「結婚したい」とまで話していて、幼稚園にいる間はずっと息子と遊びたいらしいのです。お互いに4歳とまだ幼く、人との距離感や関わり方がわからない時期。私は不快に思う気持ちはなかったものの、正直「困ったなぁ」と思っていました。
そんなある日、お迎えのときにAちゃんのママと遭遇。すると「悪いんだけど、息子くんにAともっと仲良くするように言ってくれませんか? Aは息子くんと遊べないなら幼稚園を辞めるって言ってるんですよ」と詰め寄ってきたのです。私が「でも息子からはAちゃんとも遊んでいる話を聞いていますよ」と答えると、Aちゃんのママは「ずっと一緒にいなきゃ意味がないんです。だって二人はいずれ結婚する仲なんですから、今のうちに絆を深めさせないと♪」と平然と口にしました。
私とAちゃんのママが親しい仲であれば、冗談として笑えたかもしれません。しかし、たまにあいさつを交わす程度の相手から「結婚するんだから」と決めつけたようなことを言われ、私は「息子の将来を勝手に決めるな」と、かなりイラッとしました。そして「そうですか。でも息子は、将来はママと結婚すると言ってますよ」と返答。加えて「それに、息子は今ブロックで車を作ったりお城を作ったりするのにハマっていて……。あ、じゃあAちゃんが一緒に1日中ブロックで遊んでくれるってことですか?」と伝えました。
するとAちゃんのママは「Aはブロックが苦手で……おままごとが好きなんですよ!」と引きません。そこで私が「そうなんですね。でも息子はおままごとが苦手みたいです。好きなことと苦手なことが全然違いますね」と返すと、Aちゃんのママはハッとした表情になり、自分の娘が息子に一方的な要求をしていた事実にようやく気づいたようでした。ばつが悪そうに「そうですよね、ごめんなさいね……」と小さな声でつぶやき、そそくさとAちゃんを迎えに教室へ向かいました。
その後、Aちゃんはしばらく息子のことを避けていたようですが、しばらくすると、息子とAちゃんは「ブロックで作ったお店におままごとの道具を並べる」という、お互いの好きな遊びを組み合わせた新しい関わり方を見つけていました。親が介入しすぎず見守ったことで、子どもたちは自分たちなりに納得できる距離感を学べたようです。
幼い子どもたち同士のコミュニケーションは難しいこともありますが、息子には、相手の気持ちを尊重しながら、自分の気持ちもちゃんと伝えられるよう、教えていきたいと感じた出来事でした。
著者:竹内美月/ライター。車のおもちゃが大好きな4歳の男の子と、歌って踊るのが大好きな1歳の女の子を育てる母。平日はほぼワンオペ育児。何が起こったのかわからないほどのスピードで時間が過ぎていく、ドタバタな毎日を送っている。仕事終わりに夕飯を作りながら飲むハイボールが楽しみ。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)