ある日、結婚のお祝いを兼ねて妹が遊びに来ました。私が彼の不在がちな状況を話すと、妹は険しい顔で言いました。「出張ばかりっておかしくない? 本当に仕事なの?」
妹の言葉に、胸の奥で燻っていた不安が広がりました。そういえば彼は、家にいるときもスマホを片時も離さず、誰かと連絡を取り合っていたのです。
その夜、思い切って婚約者に「本当に仕事なの?」と聞くと、彼は大きなため息をつき、「俺だって好きで家を空けてるわけじゃない」と不機嫌さを露わにしました。
「お前との生活のために必死で働いてるのに、そんな言い方ひどくないか?」被害者ぶる彼の態度に罪悪感を刺激され、私はそれ以上何も言えなくなってしまいました。
衝撃の調査結果
心配した妹は、私のために探偵事務所へ調査を依頼。「覚悟して聞いてね」と渡された報告書には、信じられない事実が記されていました。
報告書に添えられた写真を見て、私は言葉を失いました。そこには、彼が見知らぬ女性と小さな子どもに囲まれ、一軒家で仲睦まじく過ごす姿が写っていたのです。
「お姉ちゃん、彼は独身じゃない。妻子持ちの既婚者だったの」
妹の言葉に、頭が真っ白になりました。私との結婚話はすべて嘘。私は「婚約者」だと思い込んでいただけで、実態は単なる「都合のいい不倫相手」として3年も時間を奪われていたのです。
偽りの婚約者への反撃
彼の裏切りに、私の愛情は一瞬で憎しみへと変わりました。泣き寝入りなんて絶対にしません。私は妹と協力し、彼が「出張」と偽って帰宅している「本当の家」へ向かうことにしたのです。
インターホンを押すと、写真に写っていた奥さんが出てきました。私は意を決して「大切な話があります」と告げ、単刀直入に彼とのLINEや式場の予約票を見せました。
最初は怪訝な顔をしていた奥さんでしたが、具体的な証拠を目にするにつれ、みるみる顔色が真っ青に……。私は自分が婚約者だと思わされていたこと、2カ月後に結婚する予定だったことを伝えました。
奥さんはショックのあまり、声も出せない様子でした。無理もありません。私だってつらい気持ちでしたが、同じ被害者である奥さんを傷つけてしまったことに、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
すると、玄関先の重苦しい空気を察知したのか、奥から婚約者の彼が顔を出しました。私と妹、そしてすべてを悟った奥さん。3人の視線を一身に浴び、彼はその場で凍り付いたように立ち尽くすばかりでした。
苦しい言い訳
「違うんだ、説明させてくれ!」と彼は叫びましたが、もう手遅れです。「どっちも大切で、選べなかったんだ」「タイミングを見てちゃんと話そうと思ってた」などと、保身のための見苦しい言い訳を繰り返す彼。その姿に、残っていた情すら完全に冷え切っていきます。
「私との結婚も、奥さんへの愛も、全部嘘だったんだね。もう二度と顔を見せないで」と私。事態を把握した奥さんも、子どもを連れて実家へ帰る準備を始めました。
そんな奥さんを見て、彼は私に「お前だけを愛してる、結婚しよう!」と縋り付いてきましたが、そんな言葉に価値などありません。
きっと私が彼の家をあとにしたら、今後は奥さんにすがるのでしょう。
婚約者の末路
その後、私は彼に対して「貞操権侵害(独身と偽って関係を持ったこと)」と精神的苦痛への慰謝料を請求しました。
彼は奥さんから離婚を突きつけられ、多額の慰謝料と養育費を請求されているそうです。私は慰謝料の減額を交渉されましたが、受け入れられるわけがありません。
2人の女性を騙し続けた代償は、あまりにも大きなものとなりました。
結婚直前の破局はつらい経験でしたが、あのまま騙されていたらと思うとゾッとします。私の目を覚まさせてくれた妹には、感謝してもしきれません。
◇ ◇ ◇
「信じること」は大切ですが、ふと感じた「小さな違和感」を見過ごしてはいけません。それは自分自身を守るためのシグナルかもしれません。
今回のつらい経験を糧に、次は心から信頼できる誠実なパートナーと、穏やかな幸せを手にしてほしいと願うばかりです。
【取材時期:2025年12月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。