なぜ「料理はなんでも強火」は危険なのか?

理由があって強火を使っているならいいのですが、なんでも強火にしてしまうのは危険です。
理由は下記のとおり。
・外だけ焦げて、中は生のまま問題
・油はね・煙・部屋のニオイ……全部“強火の副作用”
・強火がフライパンの寿命を縮めている
「無知ゆえの危険さ」と言いますか。
子どもを見ていると「そんなことしたら、危ないよ」と思うことって多いじゃないですか?
これが調理師から見ると、料理初心者の「なんでも強火」です。
理由を詳しく解説していきます。
①外だけ焦げて、中は生のまま問題
強火でずっと焼いてしまうと、外は焦げ、中は生というバーベキューなんかでよくある状態になってしまいます。
これは火が強すぎるのが原因です。
特に危険なのが鶏肉やハンバーグ。
この2つは、むしろ弱火でOKです。間違っても、強火で焼かないように注意しましょう。
→プロは「最初は中火か弱火」でじっくり温度を上げるのが普通です。
②油はね・煙・部屋のニオイ……全部“強火の副作用”
・服に油が飛ぶ
・換気扇フル稼働でも部屋が臭う
・火災報知器が鳴りそうなレベルの煙
全部、火力の使い方がおかしいだけ。
最悪、フライパンから火が出てしまうかもしれません。
危なすぎる。フライパンの温度が上がりすぎないように、注意しましょう。
③強火がフライパンの寿命を縮めている
最後は、お財布が危険ということで、フライパンの寿命が縮むというお話です。
フッ素樹脂加工のフライパンは基本的に強火はNG。
「なんか最近くっつく……」の多くは強火での酷使が原因です。
強火はダメと知らないで使っている方も多いと思います。
フッ素樹脂加工のフライパンは基本中火か弱火で使うと、覚えておきましょう。
なんで人は料理において“強火信者”になるのか?

「料理は基本、強火でぃ!」という"強火信者"。
なぜ人はこうなってしまうのでしょうか。理由はおそらく下記のとおりです。
・「強火=プロっぽい」という勘違い
・「弱火=生焼けになりそうで不安」
・「時短=強火」という誤解
「強火=プロっぽい」という勘違い
多分、この強火=プロっぽいというのは、テレビの影響だと思います。
テレビは“魅せるための演出”。
強火のところだけ、流しています。
表面に焼き色をつけるところや水分を飛ばしたい時以外は、プロも本当は中火・弱火がメインなので、安心してください(笑)。
「弱火=生焼けになりそうで不安」
→実際は逆。
弱火のほうが均一に火が入るので失敗しにくいです。
ステーキをミディアムレアにしたいとか、ハンバーグを焼き色だけつけて、オーブンで火を入れたい、とかじゃなければ、弱火でも全く問題ありません。
むしろ、初心者の方なら、慎重にやっているのがわかって、安心して見ていられます。
「どこで中火を使うか?」がわからないうちは、弱火を基本にすると、失敗が少なくなりますよ。
「時短=強火」という誤解
強火は“時短”ではなく“事故率UP”。
短時間で仕上げたいなら、下処理と段取りが命です。
もちろん、強火を効率的に使えば、時短にはなりますが、リターンとリスクが見合っていません。
言うて3分短縮とか。
例えば、100万円かけて、105万円取りに行くような感じです(負ければ80万)。
それだったら「どうやったら、早く作れるかな?」とか「包丁をもっとスムーズに使えるようになろう」とかを気にした方が100倍早く作れるようになります。
火で時短するのではなく、火は失敗しないように使いましょう。
今日からできる“火加減の使い方”超シンプル版【料理は強火!を卒業】

最後に筆者が意識している、火加減の使い方を超シンプルにしたものをご紹介します。
中火:基準
ほとんどの料理は中火をメインに使います。
例えば、AT車で言ったら「D」みたいな役割。
普段車に乗る時に、ローギアのLやSなんてほとんど使いませんよね?
それと同じですね。
基本は中火です。
弱火:じっくり火を通すとき
弱火は、じっくり火を通したい時に使用します。
例:鶏肉、煮込み、ハンバーグ、卵料理、蒸し焼き
弱火は車で言うと、ブレーキの役割です。
「ちょっとスピード出過ぎちゃってるな?」と感じた時に、使います。
ここで言うスピードとは、フライパンの温度のことです。
こんな感じで、適度なスピードを維持しつつ、料理をしていきます。
強火:使う場面はめちゃくちゃ少ない
実は強火を使う場面は想像以上に少なかったりします。
・炒め物で最後に「水分飛ばし」で数秒
・中華鍋のような特殊な環境
・ステーキなどの焼き色をつける時
こんな感じ。
“ずっと強火”は、ほぼ存在しません。
車で言うところのMT車みたいなものですね。
「自分で効率的に加速したい」みたいな時に、その場に合わせて、最適なギアを使っていくみたいなものです。
調理師は言わば、プロのドライバー。この最適な場面、タイミングで強火を使うことができます。
しかし、普段AT車を運転している初心者の方が、いきなりMT車に乗って、ギアチェンジをするのは難易度が高すぎます。
多分、プロのドライバーの方も「最初はAT車で、車の運転に慣れるのがいいよ」とアドバイスするはず。
料理も一緒で、最初は強火など使わず、法定速度内でゆっくり走るのをおすすめします。
慣れてきて、使う場面がわかってきたら、強火をほんの少し活用していきましょう。
火加減は料理の“ギアチェンジ”「とりあえず強火!」は危険です
この記事では、火加減の考え方やフライパンの使い方を解説しました。
火加減は、車で言うと“ギアチェンジ”に該当します。
慣れていないうちは、基本的な中火を使って、火が強すぎる時は、弱火にしましょう。
強火を使わないだけで劇的に変わります。
フッ素樹脂加工のフライパンは、基本的に強火自体NGですからね。
あなたの料理が今日から本気でおいしくなるよう、祈っております。
そして、"強火の過信"が元の事故にお気をつけくださいね。