言いたい放題のママ友
ある日2歳の娘をプレ幼稚園に送った帰りに、同じクラスのママ友とカフェでお茶をすることに。そのママ友は普段から私や娘にも平気で失礼なことを言うタイプで、私は苦手意識をもっていました。「娘ちゃん、言葉出るのゆっくりめだけど大丈夫? 声掛けが足りてないんじゃない?」など、“余計なお世話”発言も多く、正直、ストレスも溜まります。しかし、プレ幼稚園に娘と同い年の女の子は少なく、ほかに情報共有できる相手もいなかったので、我慢して付き合っていました。
私たちが席についてしばらくすると、店内の一番隅の席に、若くてきれいな20代前半くらいの金髪ロングヘアーの女性と、お堅い雰囲気の50代後半くらいのスーツ姿の男性が座りました。私たちはちょうどその隣の席に座っていたのですが、席と席の間が狭く、会話は丸聞こえ。2人ともていねいな言葉遣いで、どうやらバイトの面接のようでした。
すると、会話を聞いたママ友が、失礼なことを言い始めました。「ほら見て、あの派手な子。絶対夜の仕事か何かの面接なんだよ。若いのにラクして稼ごうなんて、甘えたこと考えてるんだろうね。整形に使うのかな、不自然なほどに顔が整ってるもん」など、相手に聞こえないよう小声で勝手な決めつけを続けます。
「あんなチャラチャラした女、絶対中身空っぽだから」とママ友は言いますが、聞こえてくるのは、外国語の勉学に励んでいてボランティアにも参加している、大学を卒業するまでにお金を貯めたいという話。私はとてもしっかりした子だという印象を持ちました。「全然イメージと違う子じゃない……」と思いましたが、ママ友はお構いなしに偏見を口にし続け、だんだん声の大きさもほかの人に聞こえるくらいのボリュームに。面接中、男性が一度だけこちらを鋭く一瞥したのですが、ママ友はそれに気づかず話し続けます。さすがの私も何とか止めなければと思い、子どもの話題を無理やり振っているうちに、隣の面接が終了。
ふたりが席を立ったそのとき、男性は女性に向かって、しかし私たちに確実に聞こえる声量で「君のようなこころざしのある人と働きたい。少なくとも、隣の席の方のような、見た目だけで人を判断する残念でかわいそうな大人にはならないでほしい。期待しているよ」と言いました。
顔を真っ赤にして絶句し、飲んでいたコーヒーをこぼしそうになるママ友。私は、彼女が初めて自分の発言を「恥ずかしい」と感じた瞬間を見た気がしました。女性もやはりママ友の声が耳に入っていたようで、とても気まずそうにこちらに軽く頭を下げます。その後、女性は男性にお礼を言って店を出ていきました。男性に言われた言葉で、すがすがしい表情をしていました。男性も、こちらに有無を言わさぬ笑顔を向け、その場を去ります。ママ友は「何よ。私が悪いみたいな……」とブツブツ文句を言っており、「恥はかいたけど反省はしていないのね」と思った私は苦笑いするしかなく、頼んでいたコーヒーを飲んですぐ解散になりました。
その後、失礼発言の絶えないママ友とは、自然と距離を置くようになりました。そのうちに園でほかのママ友とも仲良くなったので、私の精神的なストレスも緩和していき、心穏やかに過ごせる毎日が続いています。
たしかに、見た目や先入観で、つい相手のイメージを決めつけてしまうこともあるかもしれません。しかし、思い込みで発した言葉は相手を傷つける可能性もありますし、仮に本人に聞こえていなくとも、周りで聞いている側もいい気持ちはしません。ママ友のように勝手な憶測で相手を判断せず、しっかり内面を見ることを、子どもにも教えていこうと思った出来事でした。
著者:松原櫻子/40代・ライター。2歳の娘を育てる母。イヤイヤの地雷を踏まないように、日々忍者のごとくそろりそろりと歩いている。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)