貯金がないのに望みが多い夫
私は昔から倹約家で、コツコツ貯金をしてきました。借金が嫌いで、車や家電製品などの大きな買い物も計画を立てて現金一括払いが当たり前。一方で、5歳年下の夫はお金があればあるだけ使うタイプで、付き合っていた当初から、貯金はほとんどありませんでした。
将来は子どもを2人授かりたいと考えていた私は、結婚後「子どもできるまでにしっかり貯金もしておこうね」と夫に伝えると「一家の大黒柱なんだ。さすがに俺も貯めないとな」と豪語。夫の希望で子どもができるまでは夫婦の財布は別のままでしたが、自信満々に「貯める」と言っていた夫を信じることにしていたのです。
しかし、第1子の妊娠を機に家を建てることになり、現実に直面します。家づくりの費用を相談すると、夫には十分な蓄えが全くありませんでした。結局、住宅ローンの頭金や諸費用の約300万円は、私の貯金から支払うことに。これから出産・育児で私の収入が減る不安があるなか、子どものための備えを切り崩すのは、苦渋の決断でした。
ところが住宅メーカーの担当者と打ち合わせが始まると、夫はまるで自分がすべて費用を負担しているかのように前のめりに話を進め始めます。「せっかく建てるなら妥協したくないんだよね」ともっともらしいようなことを言いながら、身の丈に合わない高級な仕様の設備を選ぼうとするのです。さらには、私がつわりで欠席している間も、料理をしないのに見た目を気に入り高額なキッチンを選んだり、趣味のバイクを置くためのガレージを作るために、家事動線の悪い間取りを強行したり……。自分のこだわりばかりを優先して、話を進めてしまったのです。子育てのしやすさや私の気持ちは全く考えていないのだなと、私は落胆しました。
挙げ句の果てには、月々の返済額を減らすために「外構費用はローンに入れずに、完成後に現金で払う」と言い出したのです。しかし、貯金のない夫は当然その資金を用意できません。結局、支払うのは私。「これも私が夫の収支も含めて家計を管理しておかなかったのがいけないか……」と渋々話を受け入れました。
そして、外構業者との打ち合わせへ。体調の落ち着いた私も参加できたものの、家づくりの打ち合わせ同様、外構の打ち合わせも当たり前のように夫中心で進められていきます。「やっぱり人造芝ではなく本物の芝がいいよね」などと話す夫に「まあでも管理がちょっと大変ですかね」と担当者。夫は「そっか。それなら芝刈り機を買って~」と能天気に言い出した夫に「誰が芝刈り機買うの? 誰が芝を刈るの?」と、遂にイライラが我慢できず、私は静かに「あの。ちなみに、外構費用は全部私が出すんですよ」と言いました。
担当者の男性は、驚きと困惑が混ざった表情を浮かべました。しかし私の冷静な表情を見た瞬間、顔色を変えました。私のほうを見て「承知しました」と言うと、すぐに夫に向かって「ご主人のご要望は承りましたが、最終的な予算と仕様の決定権はお支払いをされる奥様に確認しなくてはなりませんね」とまるで子どもに言い聞かせるように穏やかに伝えました。以降、夫ではなく私に説明資料を向け、具体的な金額の話も私中心に。さっきまで饒舌だった夫は相づちを打つだけになり、その日を境に、打ち合わせで前に出ることはなくなりました。
すでに決定していたガレージなどの間取り変更は間に合いませんでしたが、その後、担当者にお願いをして、高額なキッチンはランクダウンでき、代わりに実用的な収納を増やすなど、私が主導して子育てしやすい仕様へと軌道修正できました。外構も管理のラクな人造芝に変更。私主導でどんどん変わっていくプランを見て、夫は自分が親になる自覚が足りていなかったことを、ようやく理解したようです。
私のほうが年上だからと頼られ役に回り、夫の浪費や見栄も「私がフォローしてあげよう」と目をつぶってきました。しかしそれはやさしさからの行動ではなく、ただ夫婦できちんと家計管理をすることから目を背けていただけだったのかもしれないと、痛感しました。家計が破綻すれば、困るのは私たちだけでなく、生まれてくる子どもです。わが家の場合は、私が家計の管理を担い、夫にはその状況を透明性を持って共有する形が合っているのだと気づきました。家族の将来と子どもの選択肢を守るために、夫婦で納得できる「お金のルール」を一緒に作っていくことが、新しい生活への第一歩になると学んだ出来事でした。
著者:大島さくら/30代・会社員。節約と貯金が趣味の育休中ワーママ。0歳男の子を育てながら、5歳年下の夫育てにも奮闘中。ごくまれに行く息抜きのカフェは夫に内緒。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)