思いやりのない夫を、知らない人が大成敗!
長男が3歳のころ、第2子を妊娠。長男のときはつわりもほとんどなく、出産まで元気に仕事も家事もこなせていた私。しかし第2子を妊娠してからは、ひどいつわりと体調不良に悩まされる日々が続いていたのです。夫に「つわりが長男のときよりひどくて、長男のお世話もままならないの。少し手伝ってほしい」と伝えていましたが、長男の妊娠中に元気だった私を見ているためか、夫は「前は家事普通にできてただろ」「俺だってしんどい」と協力的ではありません。
それでもなんとか家事育児をこなし、つわりを乗り越え妊娠後期に突入。今度は重いおなかや慢性的な腰痛に不便さを感じる毎日がやってきたのです。そんなある日、妊婦健診で帰りが遅くなってしまいました。帰宅後に余裕を持って料理を作る時間がなく、夕飯に焼き魚と味噌汁、買ってきた惣菜を出したところ「今日も焼き魚!? 最近多くて飽きたんだけど」と、仕事で疲れて帰ってきた夫は不満気な様子。
頑張って用意したにもかかわらず文句を言われイラッとしましたが「今日は健診で遅くなったから」と怒りを抑えて説明をしました。それでも夫も相当不満だったのか「つわりはもう終わって動けるはずなのに、なんでそんな時間に健診に行くんだよ? 時間がないんじゃなくて、ただの手抜きだろ」と悪意のあるひと言で言い返してきたのです。その言葉に私も「私だって毎日大変なのよ! 腰も痛むし……。そんな中、健診に行って疲れているの」と反撃しました。しかし夫もやめようとはせず「はいはい、妊婦ってだけで言い訳できるから女っていいよな。妊婦って最強カードじゃん。特権があってうらやましいよ」と言うのです。さすがに呆れてしまった私は、それ以上は何も言い返しませんでした。
この一件から、夫婦の関係がギクシャク。それでも夫は態度を変えようとはしません。そんな中、長男の好きなアニメキャラクターのイベントに行くため、家族で電車に乗ることになりました。電車に乗るのは1時間ほど。しかし車内の席はイベントに向かう家族連れのお客さんでいっぱい。妊婦への気遣いを知らない夫はここでも「あー、腰が痛い。座ってゲームしたいのに……」と言いながら空席を探し始めたのです。そして席が空いた瞬間、私と息子を置いて、椅子取りゲームばりに席を奪取。
しばらく乗っていると私も腰が痛み始めたので、夫に「代わってくれない?」と声をかけると、夫は「お前は『妊婦様』っていう最強のカードがあるんだから、そのうち誰かやさしい他人が譲ってくれるだろ。マタニティマークでも見せつけとけよ」と信じられない言葉を返しました。公共の場でも自分勝手な理屈を振りかざす夫に、私は情けなくて涙が出そうでした。
そのとき、近くにいた外国の若い男性がスッと夫に近づき「お兄さん、その『カード』の使い方、間違っているよ。奥さんは『命』を守るために頑張ってるんだ」と声をかけました。夫が気まずそうに「いや、俺も仕事で腰が……」と口ごもると、男性はさらに続けました。「ノンノン! 奥さんは今、お兄さんの子どもを守るために、24時間ほとんど休まずに重いおなかを抱えて戦っているんだ。それ、きっと世界で一番大変な仕事だよ。それをサポートできないパパは、全然スマートじゃないね」とハッキリ指摘。
周囲にもたくさん子育て中のパパママがいたこともあり、視線は冷ややか。夫は顔を真っ赤にし、逃げるように席を立って私に譲りました。大勢の前で自分の幼稚を指摘され、ようやく自分の発言がどれほど恥ずべきものだったか気づいたようです。一連の流れを見ていた長男は、状況がよくわかっていないのか終始きょとん顔で、夫のひどい発言もわかっていなかったようで、嫌な気持ちになっていないか心配だった私はひと安心。私が夫に席を譲られたあと、周囲の人が気を使ってくれて少しずつ席を詰めてくれ、長男もちんまりと私の横に座ることができ、「みんなやさしいね」とうれしそうでした。
この一件で夫はかなり反省したようで、別人のように家事や育児に積極的になりました。次男を出産してからは、私の体調を一番に気遣ってくれるようになっています。
「1人目のときは元気だったから」という自分勝手な基準で相手の状況を決めつけ、寄り添うことを放棄した夫の姿は、私にとっても大きな反面教師となりました。「自分の物差し」だけで相手の大変さを測るのではなく、目の前の相手が今、何を必要としているのか。それを想像し、言葉を交わし合うことの大切さを痛感しました。これからも夫と一緒に、過去の経験に縛られない「今の家族」に寄り添った気遣いを積み重ねていきたいと思います。
著者:谷 ふみ/30代・ライター。中学2年生と小学5年生、6歳の3人の男の子を育てるママ。仕事に家事、育児に追われる毎日。子ども達が寝静まったあと、ひとりでドラマや映画を見るのが楽しみのひとつ。
作画:ひのっしー
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)