離婚届を突き付けた夫
ある夜のことです。いつもの些細な言い合いが、その日にかぎっては激しい夫婦げんかへと発展してしまいました。感情が高ぶった夫は、「もう無理だ、離婚だ!」と声を荒らげ、勢いのまま離婚届に署名と捺印をしました。そして、その紙をテーブルに叩きつけるように置き、「書いてやったぞ! あとは好きにすればいい」と言い放ったのです。
その瞬間、私の頭の中には、これまで積み重なってきた夫への不満や、飲み込んできた我慢の数々が一気によぎりました。そして「もう、終わりにしてもいいのかもしれない」そんな思いが胸をかすめて、「わかった、ありがとう!」と返してしまいました。
翌朝、夫は何事もなかったかのように仕事へ出かけていきました。取り残された私は、ダイニングテーブルに残された離婚届を手に取り、本当に提出するべきなのか、一人静かに考え続けました。
子どもの寝顔を見ていると、これからの生活や経済的なことなど、数えきれないほどの不安が押し寄せてきます。しかし同時に、「軽い気持ちで『離婚』という言葉を口にする関係を、このまま続けていていいのだろうか」という迷いも消えませんでした。
私は意を決して、離婚届を持って役所へと向かいました。番号札を取り、窓口の順番を待つ間、心臓の音が痛いほど響いていました。そして、いざ自分の番が近づき、窓口を前にしたときです。持っていた離婚届を持つ手が、微かに震えていることに気がつきました。
その震えを見て、私はハッとしました。 「これは、勢いで決めていいことじゃない」 そう痛感し、提出する直前で思いとどまりました。私はその場で仕事中の夫に電話をかけました。
「この紙を出したら、もう後戻りできないんだよ。本当に私たちは離婚するんだよ」
努めて冷静に伝えると、夫は初めて、事の重大さに気づいたようでした。
その後、帰宅した夫と改めて話し合いの時間を持ちました。勢いに任せて簡単に「離婚」を口にしたことを、夫は深く反省してくれました。
離婚届という紙切れ一枚は、書こうと思えば簡単に書けてしまいます。けれど、それを提出してしまった後の人生は、そう簡単には元に戻せません。その重みを、私は身に染みて感じました。相手の売り言葉に買い言葉で流されるのではなく、立ち止まって判断することの大切さに改めて気づかされたのです。
喧嘩をすると、どうしても私たちはお互いに感情的になってしまいがちです。だからこそ、今回の件を機に夫とじっくり話し合いました。感情的になりそうなときこそ一度距離を置き、自分と子どもの将来にとって何が一番大切なのかを冷静に判断しようと、固く約束しました。
この出来事をきっかけに、私たち夫婦の関係は少し変わることができました。今では、これからのために必要な経験だったのかもしれないと受け止めています。
著者:田中由依/30代女性/5歳の娘の母。仕事は医療事務。趣味はマンガを読むこと
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年5月)
※AI生成画像を使用しています
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