知らぬ間に親密な関係になっていた2人
帰宅すると、部屋の中にいたのは彼女と僕の学生時代の同級生・A山(仮名)でした。異様な雰囲気で最初は状況が理解できませんでしたが、2人が並ぶ様子を見てなぜか察しました。
あ、2人はデキているのだ、と。
僕が感じたことは間違っておらず、彼女からは迷いのない口調で「別れてほしい」と言われました。「彼と幸せになりたい」と語る彼女。A山は「お前よりも、稼ぎがいい俺がいいっていうからさ」と勝ち誇ったように笑っていました。
本気で好きだった女性でしたが、気持ちが離れた相手を引き留めても意味はないと思いました。僕は短く了承し、同棲解消の話だけ事務的に進めることに。数日後、2人は一緒に暮らすため地元を離れたと人づてに聞きました。「ならばもう今後会うことはないだろう」と感じた瞬間でした。
今、隣にいるのは…
しかし、あの別れから数年が過ぎたころ、地元で偶然、2人と再会する出来事が。
待ち合わせのために街中を歩いていた際、前から見覚えのある2人が現れたのです。向こうから声をかけられ、無視するのも不自然だったので、軽く会話を交わしました。2人は結婚の報告で地元に戻ってきたとのことでした。
2人と長く会話をするのも気まずかったので、早々と切り上げようとすると、待ち合わせをしていた人物が僕のもとへ。その人物を見たA山は驚いたような表情をしていました。
なぜなら、そこに現れたのは僕らの同級生であり、学生のころA山が好意を寄せていた女性だったから。「久しぶり」という挨拶もそこそこに、A山は「2人は……どういう関係なの?」と動揺した様子で聞いてきました。彼女はニッコリして「婚約してるの」とひと言。A山は「ええ!?」と大声を上げました。
あの別れがあったあと、「しばらく恋愛はいいかな」と思っていたところもありましたが、彼女と偶然再会したことをきっかけに何度か会う仲に。その中で、彼女とは相手を尊重すること、日常を大事にすることなど、お互いの価値観が驚くほど近いことに気づきました。あの別れのことも受け止めてくれ……自然な流れで関係が深まり、交際を経て婚約に至ったのです。
僕をサゲてくる元カノと同級生
婚約者だとわかった瞬間、A山と元カノの空気は明らかに変わりました。
驚いて終わるかと思いきや、A山はすぐにいつもの調子に戻り……「本当に大丈夫?」「こいつ、見た目ほど稼いでないよ」などと、僕を下げる言葉を投げかけてきたのです。元カノも「同じ女として言うけど、もっと条件のいい人にしたほうがいいよw」と、余計なお世話としか言えない口ぶりで重ねてきて……。
正直、僕は反論する気になれませんでした。ところが、彼女が穏やかに口を開きました。
「私はこの人の肩書きや収入で決めたわけじゃないです」
「私の幸せは、私が決めます」
強い言葉ではないのに、はっきりとした芯がある言い方でした。
その言葉を聞いた瞬間、僕の中に残っていた重たい感情が、スッと軽くなった感じがしました。あの別れ方をして以来、「気にしてない」と思っていても、僕の中には「また同じように傷つくかもしれない」という怖さがどこかに残っていたのだと思います。
裏切られた過去は消えませんが、あの場で彼女がまっすぐに気持ちを言葉にしてくれたことが、何より心強く、スカッと感じられました。今の穏やかな毎日にたどり着けたことが、僕にとっては一番の救いだなと感じた出来事でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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