義母「心配してるのよ」と言いながら…私に
義母は、まず私の近況を丁寧に尋ね、父のことを悼み、母の体調まで気遣ってくれました。私は、戸惑いの大きさや、ふとした瞬間に涙が出そうになること、それでも前を向こうとしていることを正直に話しました。義母も「寂しくなったらいつでも言って」と言い、いったんは本当に寄り添ってくれているように感じたのです。
ところが、話題はすぐに「手続き」へと移りました。相続や相続税、私の母の今後の生活――義母は必要以上にお金の話を掘り下げてきました。そして、仕送りがたりないから今月だけ増やしてほしい――そう言われたのです。
私たちは、義実家への仕送りを“3カ月だけ”と約束して始めたはずでした。それが気づけば半年。毎月10万円近い出費で、生活は回っても、まったく貯金ができない状況になっていました。
義母「今月だけ増やして…」仕送りの要求
私は「今月分はもう夫が送ったはず」と確認し、追加は難しいこと、そろそろ自分たちで何とかしてほしいことを、できるだけ穏やかに伝えました。
すると義母は「歳だから働けない」「義父の給料が下がっている」と言い、働く提案にはことごとく否定的でした。最後には、「子どもがいるのはこういうときのため」とまで言い切られ……。
それでも義母は愛想よく「考えてみる」と言い、今月だけの追加を重ねてお願いしてきました。私は迷いましたが、“今回だけ”という言葉を信じ、夫に伝えてから送ることにしてしまったのです。
数週間後、届いた“家の設計図”の意味
数週間後の昼下がり。義母から「届いた?」と軽い調子で聞かれたあと、私の家に届いた郵便物を見て、私は言葉を失いました。中に入っていたのは、どう見ても家の設計図のような書類。リフォームの図面でした。
義母は悪びれる様子もなく、自宅をバリアフリーにし、キッチンを広くし、傷んだところを直すつもりだと話しました。お金に余裕がない状況でリフォームなどできるのかと、私は思わず心配になり、余計なお世話を承知でお金のことを尋ねました。
すると義母は、笑いながら言ったのです。――お金ならある。あなたが相続した遺産があるじゃない。
父の遺産を「義実家のリフォーム」に?
義母は、私が遺産を手にした今が“チャンス”だと言い、リフォーム代を出せと迫ってきました。しかも理由は、「キッチンを広くして料理教室をやるから」「そうすれば働けるし、あなたたちに迷惑がかからない」というもの。
私が「父の遺産の使い方を義母たちが決めるのはおかしい」と伝えると、義母は不満をあらわにしました。さらに衝撃だったのは、「業者はもう決まっている」「あとは日程だけ」と、すでに契約寸前まで話を進めていたことです。
払えない、と私ははっきり言いました。夫とも支援の見直しを話していること、これ以上は無理だということも伝えました。けれど義母は、「払ってもらう」「今後ずっと仕送りするより、遺産でリフォームして仕送りがなくなるほうがいい」と、二択を突きつけてきました。
私はどちらにも賛成できませんでした。遺産を“義実家のために使う”という発想そのものが、私には受け入れられなかったのです。すると義母は、私を「ケチ」「家族に還元しない嫁」と責め、最後には「契約してしまえばこっちのもの」「払えなければ息子がなんとかする」とまで言い放ちました。
私がリフォームしたのは「義実家」ではなく…
それからしばらくして、義母から慌てた連絡が来ました。「今日がリフォームの日なのに、工事の人が来ない」と。私は落ち着いて伝えました。工事の人なら、私の実家に来ています、と。
父の遺産を使うなら、使い道は“私たちが決める”。そう夫と話し合い、私は実家をリフォームし、夫が同居してくれる形を選んだのです。母をひとりにしないために。これからの生活を守るために。
義母は「うちのリフォームでしょ!?」と怒鳴りましたが、なぜ工事が始まると思ったのか――。義母経由でわが家に来た業者には、義母が勝手に発注していること、支払い能力がないことをきちんと説明していました。義母が聞き違えたのではなく、“都合よく思い込んでいた”だけだったのです。
この一件をきっかけに、私と夫、そして義父で直接話し合いをしました。義母が窓口になっていたせいで、私たちは義実家の状況を正しく把握できていなかったのです。義父から聞いたのは、「給料が大幅に下がったわけではない」という事実でした。
義母は、仕送りを“生活費の足し”と言いながら、旅行や趣味に使っていたのです。義父は大きなショックを受け、私たちは義母への援助をやめることにしました。その後も義母は何度かお金を求めてきましたが……私たちが援助することはありませんでした。
一方、私の実家はリフォームが終わり、母と夫と私で新しい生活が始まりました。父の思い出を大切にしながら、これからは穏やかな日々を送っていきたいと思っています。
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お金の問題は、ときに家族の本音を浮き彫りにします。特に相続や仕送りの話題は、「善意」や「家族だから」という言葉によって、境界線があいまいになりがち。だからこそ、“家族だから”という言葉に流されず、自分と大切な人の未来を守る選択をしていきたいですね。
【取材時期:2026年2月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。