娘の指摘に夫がとんでもない言葉を…
「あ~もう! 早くしろよな!」
「効率悪すぎるぞ!!」
リビングには、今日も朝から夫の怒号が響いています。ユウリさんは心の中で『そう思うなら自分ですればいいのに……』と、つぶやいていました。
夫が「タイパ重視主義」になったのは、娘が産まれて1年ほどが経ったころ。何がきっかけだったのか、どうしてこうなってしまったのか、ユウリさんには見当もつきませんでした。











「あー終わった!」
2倍速で映画を観た夫は、タイパがいいと満足そうです。しかし、ユウリさんはできれば普通に観たかったので、もう1本観るという夫の誘いを断りました。すると夫は、自分がもう1本観ている間に「パパッと昼メシでも作っといてよ!」と言ってきました。
夫の言葉どおり支度にとりかかったユウリさん。すると、そこに娘・レイナちゃんがやってきて……。
「ごはん早く作るの大変なのにね」
「いつも怒られて、ママかわいそう……」
予想もしていなかった娘からの気遣いの言葉に、心が苦しくなりつつも少し温かくもなったユウリさんでしたが、夫の「俺の悪口言ってる?」という声で我に返ります。
娘は、夫にも「ごはん作るの大変だから、魔法みたいにパパッとはできないんだよ」と言ってくれますが、夫には響かず……。
「パパは、ママのいちいち時間がかかりすぎるところが嫌いなんだよ」
「時間は限られているから、無駄がないように動ける方法を教えてあげてるの」
何食わぬ顔でそんな風に娘に話す夫を見て、『なにそれ……』と、ユウリさんは言葉を失ってしまったのでした。
◇ ◇ ◇
本来なら、夫は一番の理解者であってほしい存在ですよね。それなのに、子どもに対してまで自分のことを下げるような発言をされて、ユウリさんも戸惑いと悲しみが入り混じったような、複雑な気持ちだったのではないでしょうか。
家庭で「効率」を大切にすることは、日々の忙しさを乗り越えるために役立つこともありますが、それが行き過ぎてしまうと、家庭の温かさや平穏を壊してしまったり、家族への思いやりが薄れてしまうことも……。
幼いレイナちゃんがママを気遣い、「ごはん作りは大変で、魔法みたいに簡単にはできない」というやさしい言葉をかけてくれるシーンが印象的ですが、まだ幼い子どもでも理解できている「思いやり」や「大変さ」を、大人である夫が理解してくれていないのは、とても悲しいことですよね。
毎日の家事や育児を誰かがこなすことは、決して「当たり前」ではありません。「ありがとう」や「お疲れさま」のひとことを伝えるだけでも、きっと心が軽くなり、笑顔が増えるきっかけになるはず。家族への思いやりと感謝の気持ちを忘れずに、過ごしていきたいですね。
愛川なつみ