新任バイヤー「SNS映えしない」私の野菜を酷評
ある日、新しく担当になった女性バイヤーが私の農園へ視察にやってきました。しかし、彼女は私の丹精込めた野菜を見るなり、鼻で笑いながらスマホをいじり始めたのです。
「なんか色味が地味よね〜。SNS映えしないし」
彼女は味わおうともせず、見た目だけで散々けなしてきました。さらに彼女は「こんな見栄えの悪い野菜、全品半額にしないなら契約終了ね。どうせうちのスーパーが買ってあげなきゃ、こんな大量の野菜、他に行く当てなんてないでしょ?」と、足元を見るように脅してきたのです。
理不尽な半額要求に笑顔で即答「わかりました!」
私は言葉を失いました。手間暇かけて育てた野菜たちへの愛情を踏みにじられ、自分の手柄(コストカット)のために理不尽な要求を突きつけられるなんて。
しかし、これ以上こんな人と関わっても、大切に育てた野菜たちのためにならない。そう悟った私は、迷うことなく笑顔で答えました。
「わかりました! では契約やめます!」
「えっ!?」
彼女は私が泣きついてくるとでも思っていたのでしょう。まさかの即答に、目を見開いてフリーズしていました。私は宣言どおり、翌月から系列50店舗への納品をすべて停止しました。その後は独自の販売ルートを模索し、ネットショップを立ち上げて個人のお客様への直接販売を始めることにしました。
「野菜本来の甘みがすごい!」注文が増えていき…
スーパーとの契約を打ち切ったものの、大量の野菜をどう売っていくか、少し不安もありました。ところが数日後、思わぬ転機が訪れます。
なんと、とある料理系インフルエンサーの方が、たまたま私のネットショップで野菜を購入してくれたのです。
「野菜本来の甘みとうまみがすごい!」
インフルエンサーの動画のほか、ネットで野菜を購入してくださった方がSNSに投稿してくれたり、地元の方々が口コミで広めてくれたりしたこともあり、次第に個人のお客様や飲食店からの注文が増えていきました。中には大口の受注もあり、なんとかやっていけそうだと胸をなで下ろしました。
「ごめんなさい!卸して!」手のひら返しの電話
一方、スーパーの女性バイヤーはというと……。安さを最優先にして質の低い代替品を店頭に並べた結果、購入者からのクレームが相次ぎ、売り上げは目に見えて激減してしまったそうです。
後日、その彼女からひどく焦った様子で電話がかかってきました。「あのときはごめんなさい! 特別な条件を出すから、また野菜をうちのスーパーに卸してちょうだい!」と、手のひらを返すようにすり寄ってきたのです。
しかし私は、静かにこう伝えました。「うちの野菜はSNS映えしない、とのことでしたよね? 今は待ってくださっているお客様がたくさんいますので、もう卸すことはできません」
彼女は各所で強引な値引き交渉を重ねていたようで、契約打ち切りが相次いだ責任を問われ、左遷されたと風の噂で聞きました。小さな地域ですから、悪い評判はあっという間に広まります。
今は、本当に価値をわかってくださるお客様へ、直接おいしい野菜を届けられる喜びに満ちています。
◇ ◇ ◇
自分の仕事に誇りを持ち、安易な妥協をしないこと。その積み重ねこそが、信頼と未来をつくるのかもしれませんね。
【取材時期:2026年2月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。