

体がひとつじゃ足りない!
私は、息子が7歳になるころに離婚しました。結婚生活を振り返っても、夫は自分本位な人。育児は常に私ひとりの「ワンオペ」でした。だからこそ、ひとりになっても「これまで通りやっていけるだろう」と、あまり不安は感じていなかったのです。
しかし、子どもたちの成長とともに、事態は想像以上に過酷になっていきます。
息子は毎日外を元気に走り回り、私は3歳の下の娘を抱っこしたまま息子を追いかけるのが習慣に。夜はヘトヘトで、子どもと一緒に寝落ちする毎日でした。
そんななか一番困ったのが、外出先での「兄妹ゲンカ」でした。
互いにしたいことが食い違うと、二人とも拗ねてしまい、あろうことか正反対の方向へ猛ダッシュ。
娘が小さいうちは、泣き叫ぶ娘をベビーカーに押し込み、全力で息子をつかまえる……という力技でなんとか凌いできましたが、二人が小学生になると、もう限界でした。
二人を連れて外出するのが怖い
体力も走るスピードもついた二人は、場所を選ばずケンカし、それぞれの方向へ走り去ります。
「待って!」「勝手に行かないで!」
私の声は雑踏にかき消され、視界から二人の背中が消える……。そんなことが続き、迷子センターのお世話になる機会が増えていきました。
せっかくのお出かけも、最後は嫌な気持ちで帰宅するばかり。
「片方を追いかけている間に、もう片方が事故に遭ったら?」
「私の体はひとつしかないし……この子たちに何かあったらどうしよう」
いつしか私は、自分ひとりで二人を連れて外出することに、強い恐怖を感じるようになっていたのです。
救世主が現れて…!?
そんなある日、久しぶりに会った親友に、胸の内をこぼしました。
「2人同時に走っていかれると、私ひとりじゃ物理的にどうしようもないんだよね……」
すると彼女は、さらりとこう言ってくれました。
「じゃあ、私も一緒に行くよ。大人が2人いれば、1人ずつ追いかけられるでしょ?」
その言葉がどれほど心強かったか。彼女はわざわざ有休を取ってくれ、ずっと子どもたちが憧れていたテーマパークへ、4人で行くことになったのです。
念願の遠出に子どもたちは大喜び。しかし案の定、現地でも小競り合いが始まり、二人は反対方向へ猛ダッシュしてしまいます。けれど、この日はこれまでと違いました。
「私は妹ちゃんを追うから、お兄ちゃんをお願い!」
親友と連絡を取り合いながら、それぞれを無事に確保。
今まで必死で子どもの背中を追いかけるだけだった私が、その日は初めて、子どもたちが楽しむ笑顔を、落ち着いて見ることができたのです。
シングルになると「全部ひとりで完璧にしなきゃ」と自分を追い込みがちですが、困ったときは誰かに頼ってもいいんだと、彼女が気づかせてくれました。
親友は今でも一緒に旅行へ行ってくれて、子どもたちにとっても仲良しのお姉さんのような存在です。いつも支えてくれる彼女が困ったときは、今度は私が力になりたい。そんなふうに思える相手がいることが、今の私の支えになっています。
著者:本宮ゆりか/40代女性。2012年生まれの息子、2016年生まれの娘のシングルマザー。営業事務、受付の後に学童指導員として7年勤務。2人目の出産のため退職し、現在は書店にてパート勤務。食物アレルギー持ち&発達グレーの息子と、癇癪持ちの娘の育児に奮闘中。ラグジュアリーなホテルに泊まるのが夢。
作画:おはな
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)