切迫流・早産を経て早く生まれた娘
3人目の妊娠で切迫流・早産で長期入院をし、安定していたとは言えないものでしたが、夫と子どもたちとの面会時間を楽しみに約4カ月の入院生活を家族全員で乗り切ろうとしていました。そして迎えた妊娠36週5日。
正期産を目前に、あと少しでおなかの子どもと上の子どもたちにも会える。楽しみなことしかない!と思ってワクワクしながら眠りにつきましたが、おなかの張りが痛みを伴うものになっていました。
あっという間に帝王切開にて出産した私は、生まれたばかりの赤ちゃんに何も問題がないことを聞き、安心して眠ったことを覚えています。
え?「心室中隔欠損症」って何?
娘が生まれて安心していたものの、生後5日目に小児科の先生から「心臓の音に雑音が聞こえます。追加の検査が必要です」と言われ、改めて検査をすると「心室中隔欠損症」と診断されました。
心室中隔欠損症は簡単にいうと右心室と左心室の間に穴が空いている状態。心室中隔欠損症は特に珍しくなく、たいていは小さな穴で自然と閉じることが多いそうです。
しかし、娘は穴の位置が大動脈弁の近くにあり、穴自体は大きくはないけれど弁が変形しているとのことでした。弁が変形することで血液の逆流があり、本来なら送り出されるはずの血液が戻ってきてしまうそう。そのために「早い段階で手術が必要になる」との説明を受けました。
小さな体で挑んだ手術
循環器小児科のある大学病院で心臓疾患の専門医が詳しい検査をしました。そして、泣きながら手術の説明を聞いていた私に、先生は「お母さん。これは生き死にのための手術ではなく、元気に生活するために必要な手術だと考えてください。だからそんなに不安にならず、一緒に戦ってあげてください」と声をかけてくれました。この言葉でとても勇気づけられました。
娘が生後8カ月のとき約6時間の手術の時間、不安な気持ちを抑えつつも無事に手術が終了。ICUへ移された娘はまだ意識こそ戻っていなかったものの元気だと教えてもらい、とても安心したのを覚えています。
手術後は2〜3週間の入院予定のところ、娘は1週間で退院という脅威の回復力を見せてくれて、1歳になった現在も元気に過ごしています。
娘が心室中隔欠損症の診断を受けたことも手術を受けたことも、ショックなことでした。でも、家族全員で乗り越えられたこと、家族の笑顔や健康の大切さに改めて気づかせてもらえたことはかけがえのない経験になりました。身をもって教えてくれた娘にはとても感謝しています。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
原案/三上美咲
作画/やましたともこ