対照的すぎる面接スタート
案内されて面接室へ入ると、面接は2人1組でおこなわれると告げられました。私の隣に座ったのは、目を引くほど整った顔立ちの女性。名札には「A子」とあります。
姿勢も表情も堂々としていて、場の空気まで変えてしまうような華やかさがありました。対して私は控えめで、どちらかといえば目立たないタイプ。並んだ瞬間、「比べられたら不利かもしれない」と嫌な想像がよぎりました。
美人だけが主役!?
面接は人事部長が担当するとのこと。私たちを見た途端、人事部長の視線がA子に吸い寄せられます。そして私とA子を見比べるかのように「これはまた雰囲気の違う2人だな」「A子さんは芸能人みたいだね」と言うのです。質問もほとんど彼女へ向けられました。
「年齢はいくつですか」「好きな食べ物は?」など、仕事に関係のある話題から外れていくのに、人事部長とA子は笑い合い、私は相づちをただ打つばかり。私が前職の経験や業務内容を説明し始めても、「うん、そこはもういい」と話を途中で切られてしまいます。
さらに驚いたのは、人事部長がA子を親しげな呼び方に変え、結婚の予定や交際相手の有無など、踏み込んだ話題まで掘り下げ始めたことです。A子も悪びれず笑顔で応じ、人事部長は嬉々として盛り上がる。私は「面接の場のはずなのに」と、ただ唇を噛みました。
静かな逆転
面接が終わって廊下に出ると、A子は「私、見た目で得すること多いんだよね。地味なあなたとペアで助かった。これで採用は決まりかな」「あなたは受からないかもね。私と比べられちゃったし」と勝ち誇ったように私に告げました。さらには「世の中、外見がすべてでしょ?」とまで言い放ったのです。私は反論する気力も湧かず、「そうとは限らないと思う」とだけ返し、その場を離れました。
後日、内定者説明会の日。会場の受付が騒がしく、振り向くとA子が「合格者が集まるんでしょ? 私は採用されるはずなのに呼ばれてないなんておかしい!」と声を荒らげていました。周囲が止めても収まらず、私を見つけると「なんであなたが受かって私が落ちるの?」と、今度は怒りの矛先をこちらへ向けてきました。
そのとき、背後から落ち着いた声がしました。「どうした。なにを騒いでいる」白髪の男性が、ゆっくりと近づいてきます。すると、激昂していたA子は「何このヨボヨボじいさん。黙っててくれる? まさかあんたも合格者とか言わないでよね」と暴言を吐きました。
空気が凍りつき、警備スタッフが間に入ろうとしたとき、思わず私が声をかけました。「お祖父ちゃん、大丈夫?」と。同時に別の職員が駆け寄り、「会長、ご無事ですか」と男性に深々と頭を下げました。
積み重ねた実力
そう、その男性はこの会社の会長であり、私の祖父なのです。A子の顔から血の気が引いていきました。しかし、状況を理解すると「会長なんでしょ? 面接官からあんなに気に入られた私が不採用っておかしくない!? 代わりに身内を採用するなんてひいきじゃない!」と反論してきたのです。
私が「親族関係は明かさず、実力だけで中途採用の面接に臨んだの。結果は採用でした。顔がいいだけじゃ受からないみたいね」と伝えると、A子はフラフラと倒れ込みました。ちなみに、面接での不適切な対応が社内で発覚し、人事部長は責任を問われて自主退職することになったそうです。
祖父は微笑みながらA子に「中身を磨く努力をしなさい。うちの孫にはそう簡単には敵わんだろうがね!」とお説教をしました。こうしてA子は追い出され、私は内定者説明会に向かうことに。
「お祖父ちゃん、ほめすぎだよ」と笑いながらも、私は思いました。地味でも真面目に実力を積み重ねていれば、ちゃんと見てくれている人がいるのだと。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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