借金発覚、そして離婚
ある日、夫の部屋を片付けていたとき、ゴミ箱の中から見慣れない封筒が出てきました。何気なく手に取ってみると、そこには金融会社の明細書が入っていました。
仕事から帰宅した夫に見せると、夫は一瞬言葉を失い、そのまま視線を落としました。そして観念したように、小さな声で「ご、ごめん……内緒で借金してました……」と白状したのです。私は思わず「はぁ!?結婚したとき何て言った? 内緒で借金するのだけはやめてって言ったよね!」と声を荒げてしまいました。実は結婚前、夫はギャンブルで借金を作っていたのです。その借金を返済した直後のことだったので、私の怒りは絶頂に達していました。激怒する私をチラッと見て、夫は気まずそうに「……パチンコで……」と呟きました。私は大きくため息をつきながらも一度だけ許すことにしました。しかし、それから数週間後、今度は別の金融会社からの通知が家に届き、再び借金していたことが発覚しました。問い詰めると、夫はあっさり認め「ご、ごめん……また借金しちゃいました。でもさ……君、仕事うまくいってるじゃん。このくらいの額なら、なんとかしてくれると思って」と言い放ったのです。
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が一気に冷えました。 人の収入を当てにして借金する人と、これから先の人生を一緒に歩んでいくことはできない――そうはっきり思ったのです。 私は離婚を決意しました。
義母に事情を伝えると、義母は何度も頭を下げて謝ってくれました。私の尊敬する大好きな義母とは離れたくない……。心の底から思っていた私は、義母とはこれからも良い関係を続けていきたいと伝えました。
夫との結婚生活には終止符を打ちました。しかし、その後も元義母とは定期的に連絡を取り合っていました。
「母が事故にあった!30万円よこせ!」
離婚して数年が過ぎたある日、突然元夫から電話がかかってきました。久しぶりの着信に嫌な予感がしましたが、電話に出ることにしました。すると元夫は開口一番「母さんが事故にあったんだ!」と言うのです。
突然のことに動揺した私は「え? お義母さん大丈夫なの?」と慌てて尋ねました。すると元夫は焦った口調で「入院してる! 見舞金30万円よこせ!」と言い放ったのです。 突然すぎる要求に頭が追いつかず、私は「ちょっと待って、どういうこと?」と一言。 すると元夫は、苛立った声で「お前も入院したとき母さんに世話になっただろ! 30万くらいすぐ出せるだろ!」と続けました。その言い方に、胸の奥がざわつきました。 なんでこんなに焦っているの……? この状況でお金の話だけ……? 違和感が消えず、私は電話を切ったあとすぐに元義母に連絡しました。電話に出れる状況なのか……心配していると、あっさりと元義母は電話に出てくれました。私が元義母に状況を説明すると「事故? 入院? 何のこと? 私はピンピンしてるわよ?」と言うのです。
どうやら元夫の話は、まったくの嘘だったようです。 すると元義母は 「……そういうことね。また借金をしたと思う」とポツリ。その声には、怒りがはっきりとにじんでいました。そして義母は「痛い目を見ないとわからないようね……。お金が用意できたと言って、呼び出してちょうだい。」と言うのです。私は元夫に連絡し、「30万円を渡す」と伝えて会う約束を取りつけました。
待ち合わせ場所に現れた義母
約束の日、元夫は笑顔で現れ「持ってきたんだろ?30万!」と言うのです。その態度に、胸の奥がじわりと熱くなります。私は「その前に、聞きたいことがあるの。お義母さんの容態はどうなの?」と尋ねました。すると、元夫が不機嫌そうに眉をひそめイライラし始めたのです。早くお金を渡せと言わんばかりに……。元夫が「そんなのどうでもいいだろ! 早く金をよこせよ!」と怒鳴り始めたのです。
そのときです……! 近くで身を隠していた元義母が現れ「誰が事故にあったのよ! 勝手なこと言うんじゃないよ!」と一言。その瞬間、元夫の顔色が一変したのです。そして「か……母さん!?」と慌て始めたのです。元義母は元夫の目をまっすぐ見ながら「私は事故にもあってないし、入院もしてない。どうせまた借金でもしたんでしょ……。お金がほしいからって、私を事故にあったことにするなんて……いい加減にしなさい!」と言い放ったのです。そして、きっぱりと「もうあんたとは親子の縁を切る」と言い切ったのでした。私も静かに「もう関わらないで。それが最後のお願い」と告げました。元夫は小さく「……ごめん」と呟きました。……もう遅い。私たちはその場を離れました。
その後、元義母は本当に元夫と距離を置いたそうです。連絡先を変え「もう巻き込まれない」ときっぱり線を引いたと聞きました。そして私と義母は、今も連絡を取り合っています。たまに近況を話して笑い合ったり、季節の食べ物の話をしたり――立場が変わっても、良い関係が続いています。
◇ ◇ ◇
お金の問題は、ときに人の本性をはっきり映し出すのかもしれません。信頼は一度崩れると、簡単には元には戻りません。違和感を見過ごさず、自分を守る決断をすることが大切になるでしょう。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。