【医師監修】30~40代の女性に多い「子宮筋腫」。妊娠への影響は?

2019/10/28 12:30
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この記事では子宮筋腫について、医師監修のもと解説します。子宮筋腫は30代以上の女性の20~30%がもっている、ありふれたものです。普段から婦人科健診を受けておくことが大事で、筋腫が見つかった場合には定期的な健診が必要です。
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女性ならではの病気として子宮筋腫があります。子宮筋腫は特に30~40代の女性に多いのが特徴です。この年代の女性の場合、出産への影響を気にする人もいるでしょう。今回は、子宮筋腫は妊娠にどのような影響があるのか、治療後に妊娠はできるのかについてご紹介します。

 

子宮筋腫とは? 予防できるの?

子宮筋腫とは、子宮に筋腫と呼ばれる「できもの」ができる病気です。筋腫とは筋肉(平滑筋)に似た細胞がこぶのように増殖したものです。子宮筋腫のほとんどは良性で、悪性になるようなケースはまれです。30~40代に多いのが特徴で、小さいものも含めれば30歳以上の女性の20~30%が筋腫を持っています。症状がなければ、小さい子宮筋腫は治療の必要がありません。

 

子宮筋腫ができる原因ははっきりとは解明されていないため、有効な予防方法はわかっていないのが現状です。しかし、卵巣から分泌される女性ホルモンの影響で筋腫は発育すると考えられています。そのため、女性ホルモンの分泌が少なくなる閉経後には、ほとんどの筋腫は小さくなっていきます。

 

子宮筋腫は子宮のどこの部位にできるかによって3つに分類され、それぞれにより症状の出かたが異なります。

 

子宮の壁から子宮内部に向かってできる筋腫を「粘膜下筋腫」と呼びます。月経時に出血量が多くなったり月経日数が長くなったりするケースがあり、強い貧血が起こりやすくなります。粘膜下筋腫とは反対に、子宮の壁から子宮の外側に向かってできる筋腫を「漿膜下(しょうまくか)筋腫」と呼びます。大きくなると他の臓器を圧迫するため頻尿や便秘などといった症状が出るケースもあるのが特徴です。

子宮筋腫のうち最も患者数が多いのは、子宮の壁の中にある平滑筋という筋肉の壁の中にできる「筋層内筋腫」です。小さいうちはほとんど症状は出ませんが、大きくなるにつれて経血が増えます。

 

また、筋腫は通常子宮の上部(体部)にできることが多いのですが、腟に近い下の部分にできる場合があり、こうした筋腫は「頸部(けいぶ)筋腫」と呼びます。

 

子宮筋腫があると妊娠しづらいって本当?

子宮筋腫による症状の出かたは、できている場所や大きさにより影響を受けますが、妊娠しづらくなるかどうかについては一概にはいえません。しかし、大きな子宮筋腫や粘膜下筋腫の場合、不妊や流産の原因となることはあります。特に筋腫の大きさが10cm以上になると子宮内の形状に異常が起こり、着床障害が発生しやすくなります。

 

一般的に月経量が増えてきたようなときは、まず子宮筋腫の可能性を考えないといけませんが、子宮筋腫は小さいうちは自覚症状がないものが多く、婦人科健診によって見つかるケースが多いのです。ですから、結婚や妊娠を考える前から健診を受けておくことが大切で、筋腫が見つかった場合はその数や場所、大きくなるスピードなどを定期的にチェックしてもらうことです。

 

小さい筋腫の場合は、妊娠や出産に問題ないことが多いのですが、明らかに不妊の原因になっていると思われる場合や、妊娠しても流産・早産の原因となりそうな場合は、先に筋腫の治療をすることも選択肢となります。

 

有効な治療方法は? 妊娠を希望している場合はどうするの?

子宮筋腫の主な治療方法は、薬を使った治療と手術の2つです。

 

子宮筋腫が発生する明確なメカニズムは解明されていませんが、女性ホルモンによる影響が大きいと考えられています。また、閉経後の女性では筋腫が小さくなりやすいというのも特徴です。そのため、基本的に無月経状態にして女性ホルモンの分泌を止めることで治療します。女性ホルモンの分泌を止めることで、筋腫の大きさを小さくするのです。さらに、薬を使った治療は「逃げ込み投与」「術前投与」に分かれます。前者は閉経に近い年齢の人が閉経までの時間稼ぎをするためにおこなう方法です。それに対して、後者は手術療法をおこなうための下準備として、筋腫のサイズを小さくすることを目的としておこないます。

 

手術での治療は「筋腫核出手術」「子宮全摘出手術」「子宮鏡下手術」の3つです。筋腫核出手術は、対象となる筋腫のみを摘出することを目的としているのに対して、子宮全摘出手術は子宮そのものを摘出してしまいます。子宮鏡下手術は、子宮の内側にできた粘膜下筋腫の場合に、腟から子宮内に手術器具を入れて、内視鏡的に筋腫を摘出する手術のことです。

 

当然のことながら、子宮全摘出手術をおこなってしまうと妊娠は望めなくなってしまいますので、子どもが欲しいという人は基本的に筋腫核出手術または子宮鏡下手術で対応します。筋腫核出手術には、おなかを切っておこなう開腹手術と、腹腔鏡という機械を使った手術の2通りの方法があり、個人の状況に合わせて手術法が選択されます。腹腔鏡手術のほうがおなかの傷が小さく、また術後の回復が早く、腹腔内の癒着が起こりにくいというメリットはありますが、腹腔鏡手術を受けるためには筋腫の大きさがおよそ10cm以内という制限があるのが一般的です。

 

いずれの方法で手術しても、筋腫の場所や大きさによっては、その後妊娠したときにその部分が薄くなり、分娩の方法は帝王切開が選択される可能性が高くなります。

 

まとめ

子宮筋腫は30代以上の女性の20~30%がもっている、ありふれたものです。できている場所や大きさによって、月経量が増えたりするなどの症状が出る場合もありますが、症状のない人もたくさんいます。妊娠したいと思うときに筋腫が大きくなっていたりすると、妊娠しにくい原因となったり、また妊娠しても流産・早産の原因となることがあります。

 

したがって、普段から婦人科健診を受けておくことが大事で、筋腫が見つかった場合には定期的な健診が必要です。場合によっては、妊娠するより前にあらかじめ筋腫を取る手術を受けることが選択肢となる可能性があります。

 

■参考
・株式会社メディックメディア『病気がみえる Vol.9 婦人科・乳腺外科 第3版』p.132-141
日本婦人科腫瘍学会 子宮筋腫

 

監修者

医師 福岡 正恒 先生

産婦人科 | 産科婦人科福岡医院院長


京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医,京都大学医学博士

 


経歴

京都教育大学附属京都小学校,洛星中学校・高等学校,京都大学医学部 卒業
京都大学医学部附属病院にて研修後、市立伊勢総合病院・京都桂病院での勤務(医員)を経て、京都大学大学院医学研究科へ進学。
生殖内分泌学の研究や不妊治療に従事。

昭和63年 医学博士となる。

平成4年 京都大学医学部助手となり、婦人科病棟医長として子宮筋腫や子宮ガン等の診療に従事

平成 6~7年 英国スコットランドのエジンバラ大学生殖生物学研究所に留学、帰国後は、産科病棟副医長として周産期診療に従事
平成10年 京都大学大学院医学研究科 講師
平成11年 産科婦人科 福岡医院 開院



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