そのとき、夫は友人たちとバーベキューをしている最中で、すでに全員がお酒を飲んでしまったため、病院には向かえないと言うのです。
タクシーを使ってでも来てほしいと懇願しましたが、夫は「医療が発達した現代で、もしものことなんて起きないだろ」と真剣に取り合ってくれませんでした。さらに……。
私をあざ笑う義父
夫は、翌日に予定している友人との温泉旅行を優先し、「面会はその後でいいでしょ」とまで言われたのです。
陣痛の痛みに耐えながら、出産という命がけの出来事を「どうせ無事に決まってる」と軽く扱う夫の態度に、私は深い絶望感を覚えました。結局、夫が立ち会うことはなく、私は10時間以上の難産の末、ひとりで不安と戦いながら無事に女の子を出産しました。
翌日、私は夫と義父、義母のそれぞれに娘の写真を送りました。無事に出産を終えた報告のつもりでしたが、そこで義父から目を疑うようなメッセージが届きました。
「トンビがトンビを産んだな!」
なんと義父からは、私を労うどころか、あざ笑う言葉が送られてきたのです。
義父も夫も、義母が経営する会社で働いており、社長である義母に経済力や地位で上回れていないことに、コンプレックスを抱えているようで、立場の弱い私を見下すことで優越感に浸るようなところがありました。
あまりのショックに、私は面会にも来ない夫へ連絡をし、義父の心無い言葉について相談しました。
「お義父さんにトンビがトンビを産んだって言われた」
しかし、夫からの返事は私をさらに深く傷つけるものでした。
絶対に許せない冗談
「トンビがトンビを産んだ!」
「親父おもしろ! 完全に同意だわ! お前パッとしないもんな笑」
なんと夫は、義父の暴言を笑いながら肯定したのです。夫や義父にとっては、相手を貶める発言も冗談やちょっとしたコミュニケーションのつもりだったのかもしれません。しかし、命がけの出産を終えたばかりの私にとって、それは決して許すことのできない屈辱でした。
「じゃあ私にも同意して?」
私は、この瞬間、離婚を決意しました。
「え?」
夫は何かを察して、動揺している様子でしたが、産後間もなかったので疲れもあり、多くは語らず、私はそれ以上返信しませんでした。
退院後、私は自宅へは戻らず、娘を連れて自分の実家へ帰りました。私の実家は地元で小さな会社を営んでおり、義母が経営する会社とは長年にわたり大切な取引関係にありました。憔悴しきった私の姿を見た両親にすべての事情を打ち明けると、父は激怒し、すぐに義母へ連絡を入れました。
普段から厳格な義母でしたが、この件を知ると、女性を見下すような夫と義父の言動に対し、同じ女性として、そして母親として烈火のごとく怒ってくれました。
笑えない冗談を吐いた夫の末路
その後、義母が全面的に協力してくれて、私は夫と離婚することになり、親権と相応の養育費を得て新しい生活をスタートさせたのです。
一方、夫と義父は義母の逆鱗に触れ、社内での居場所を完全に失いました。以前から職務怠慢や不適切な言動が問題視されていたことも重なり、社長の家族という立場で、社内で威張っていた2人は厳しい処分を受け、最終的には自主退職という形で会社を去ることに。
義母も義父に見切りをつけて離婚を選択し、現在、夫と義父は再就職先も見つからず、苦しい生活を送っていると風の噂で聞きました。義母とは今でも良好な関係が続いており、時折娘を連れて会いに行くと、私には本当の娘のように接してくれて、娘のことも心からかわいがってくれています。
◇ ◇ ◇
出産という命がけのタイミングで、一番寄り添ってほしい夫や家族から心無い言葉を投げかけられるのは、どれほどつらく悲しいことだったでしょうか。冗談のつもりであっても、相手の容姿を貶める発言は決して許されるものではありません。身近な人だからこそ、言葉選びには慎重になるべきだと改めて気付かされます。我慢せずに信頼できる周囲の人に相談し、自分と子どもの心を守るための行動を起こしたいですね。
【取材時期:2026年3月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。