夜のオフィスで見かけた光景
その人は、社内でも優秀だと評判のA子さん。資料作成の作業中だったようですが、システムエラーでパソコンが起動せず、困っている様子でした。納期が迫っているらしく、周囲に相談できる人もいないようでした。
私は少し迷いましたが、「もしよろしければ、お手伝いしましょうか」と声をかけてみました。
状況を聞きながら操作手順を確認し、原因になっていた設定を口頭で説明しました。すると、無事にパソコンは起動。資料も問題なく開けるようになりました。A子さんは驚いた様子で、「こんなにパソコンに詳しい清掃スタッフさんがいるなんて」と笑顔を見せてくれました。
ただ、そのやりとりを見ていた社員のB田さんは、少し気に入らなかったようです。後日、「業務用の端末にむやみに触れさせるのはよくないんじゃないか」と皮肉交じりに言われてしまいました。
私は余計な誤解を生まないよう、それ以上関わらないようにしていました。
名乗り出た人物と意外な証言
数日後、部長が社内を訪れ、「先日、A子さんのパソコンのトラブルを解決してくれた人がいると聞いたんだが、誰かな?」尋ねました。するとB田さんが「僕です」と名乗り出たのです。私は少し驚きましたが、その場では何も言いませんでした。
しかしそこへA子さんが現れ、はっきりと言いました。
「違います。助けてくれたのは、あちらにいる清掃スタッフの方です」
さらにA子さんは、「技術的な説明もとてもわかりやすくて、本当に助かりました」と話してくれました。部長から「どうしてそんなに詳しいのですか」と聞かれ、私は自分の過去を簡単に話しました。
以前はエンジニアとして働いていたこと。しかし職場環境に悩み、技術職から離れることになったこと。それでも、システム開発への思いを捨てきれず、この会社に清掃スタッフとして再就職したこと。
話を聞いた部長はこう言いました。
「実は今、当社でも新しいシステム開発を進めている。もしよければ、正式な手続きを踏んで開発部の選考を受けてみないか」
再び技術者として挑戦することに
私は社内の規定に沿って異動の選考を受け、技術試験や面接を経て開発部へ配属されました。
最初は戸惑うこともありましたが、システムの不具合を一つずつ修正し、チームと対話を重ねながら開発に取り組んでいきました。次第に、社内外から相談を受ける機会も増えていきました。
一方、B田さんは自分の知識を誇ることが多かったものの、実務経験が不足していたようで、思うように成果が出せずに悩んでいる様子でした。
そんな中、新進気鋭のD社から大きな案件が舞い込みました。担当に選ばれたのは、私とA子さん。2人でクライアントの要望を丁寧に整理し、試行錯誤を重ねながら開発を進めました。
納品後、D社の担当者は「おふたりのおかげで、現場に本当に合ったシステムができました」言ってくれました。その言葉を聞いたとき、技術者として再び仕事ができていることを心からうれしく思いました。
その後、B田さんは自分の姿勢を見直したようです。
「自分は知識ばかりで、現場のことを理解できていなかった。もう一度、基礎から学びたい」と言って、私たちのプロジェクトに加わることになりました。
まとめ
現在、私は開発チームの仲間と協力しながらシステムづくりに取り組んでいます。A子さんともよいビジネスパートナーとして仕事を続けています。この経験を通して、私は改めて感じました。技術だけではなく、人と向き合う姿勢こそが、組織を前に進める力になるのだと。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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