

“酒豪モンスター”と呼ばれる叔父
私たち3兄妹の中で最初に結婚した兄。親族一同、晴れの日を心から祝う気持ちで会場に集まりました。遠方から駆けつけた親族の中には、例の叔父の姿もありました。
問題の叔父とは、私自身も普段ほとんど顔を合わせることがありません。しかし、過去には「友人の結婚式で泥酔して金屏風を破った」「昼から飲んで酔いつぶれ、山手線を10周した」などの凄まじい武勇伝(?)を持つ人物です。それでも「さすがに年齢も年齢だし、もう落ち着いているだろう」と思っていました。
披露宴開始とともに響き渡るヤジ…
ところが、兄夫婦が披露宴会場に入場した瞬間、早くも異変が起こります。みんなの拍手が鳴り響くよりも早く、「新郎、ヒョロヒョロやなぁ!」「男のクセに情けないぞ!」と、すでに泥酔した叔父の大声が会場に響き渡ったのです。
いつの間にそこまで飲んだのか……。一気にざわつく会場で、私は笑うこともできず、ただただ冷や汗を流すばかり。式場内は一瞬にして異様な空気に包まれてしまいました。
叔父は酔うと他人の忠告を聞かないどころか、逆ギレして余計に手が付けられなくなるらしく、一緒にいた叔母(叔父の妻)やいとこ(叔父の娘)も、もはや何も言えないようでした。
その後も事あるごとにヤジを飛ばし続けた叔父でしたが、極めつきは“花嫁の手紙”の場面でした。新婦が涙ながらに手紙を読み上げ、会場が感動に包まれるはずのシーンで、叔父は「泣ける!」「ええ娘さんやー!!」と、言葉の一つひとつに合いの手のようなガヤを入れ始めたのです。
私を含め、新郎側の親族は赤面を通り越して青ざめていました。
救われた新婦側のあたたかい気遣い
式の終盤、申し訳ない気持ちでいっぱいのまま新婦とお母さまに平謝りすると、返ってきたのは意外な言葉でした。
「もう亡くなったけれど、うちの親戚にももっとすごい人がいたから大丈夫ですよ」と、笑顔で慰めてくださったのです。
続けて、その親戚がお通夜で酔っ払って全裸になった話などを披露してくださり、最後はみんなで大笑い。そのあたたかい気遣いに、少しだけ救われる思いがしました。そして、そんな騒ぎなどつゆ知らず、当の叔父は会場横のソファでひっくり返って寝ていたのでした……。
結婚式は、両家の価値観や家族の色が浮き彫りになる場でもあります。どんなハプニングが起きても、最後に笑って受け止めてくれる人がいることのありがたさを、私はあの日、しみじみと感じました。
今となっては「伝説の結婚式」として語れる思い出ですが、あんなに肝を冷やす1日は、きっともう二度とありません。
著者:木下うめ子/30代女性。2018年生まれの双子ママ。自閉症の双子のサポートに日々奮闘中。管理栄養士の資格を持っており、食べることが大好き。
作画:まっふ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年3月)