息子の失言で隣人は激怒…と思いきや
5年ほど前まで、2階建てのアパートに住んでいた私たち家族。隣に住んでいるAさんは20代くらいの男性で、金髪の強面。耳や眉、口にはたくさんのピアス、そして服装もオーバーサイズの派手な格好の人でした。遊びに来る友人たちも同じようなファッションで、アパートの廊下ですれ違うときは「ちょっと怖いなぁ」と思い、なるべく会わないよう避けていました。
ある日、買い物から帰り、駐車場で当時3歳の長男と2歳の次男を車から降ろしていると、隣の車に荷物をのせようとしているAさんに遭遇。私は少し緊張しながらAさんに軽く会釈し、家に向かって歩きだします。
すると長男が大きな声で「あのお兄ちゃん、耳もお口もいっぱいキラキラついてるー! なんで? なんで?」と、指をさしながら不思議そうな顔で私に尋ねてきました。引きつった笑顔で「すごいね、かっこいいよね」と長男の問いかけをごまかしながら、私は内心、「今の聞こえちゃったかな!? 怒られないかな……!?」と動揺してパニック状態。その直後、後ろで「バンッ!」とドアを閉める音がして、私はさらに焦りました。そして「あの!!」とAさんが大声で私たちに話しかけてきたのです!
「うわっ! 怒られる! 怖い!」と思わず肩をすくめ、恐る恐る振り返ると、Aさんが私たちの車を指さしています。「あの、えっと……。後部座席の窓が開いてます。今夜は雨になるって天気予報で言ってて」と少しぶっきらぼうに話すAさん。怒られると思い込んでいた私は、顔が熱くなるのを感じながら「あっ! 教えてくださってありがとうございます」とAさんにお礼を言い、私たちは車に引き返しました。
そして慌てて窓を閉めていると、Aさんは「俺のキラキラ、おもしれーだろ?」と笑顔で長男に話しかけてくれたのです。冷や汗をかく私をよそに、Aさんは「このキラキラはさ、歳が離れた小学生の弟が気に入ってるんだよ! 弟を驚かせようと思ったらつい増やしすぎちゃったんだよな~」と、さりげなく長男の疑問に答えてくれました。長男は「そうなんだ~。ぼくもお兄ちゃんのキラキラ好きだよ!」とうれしそうに話します。Aさんは少し恥ずかしそうに、でもうれしそうに「またな、バイバイ」と手を振り、車で出かけていきました。
今回の件で、ついつい外見で人を判断してしまいがちになっていたと反省しました。怖そうな見た目だからといって、それだけでその人の内面まで決めつけてしまうのは、とてももったいないことだと思い知らされました。息子たちには、外見に惑わされることなく、相手の本当のやさしさに気づける人になってほしいなと思います。そしてAさんのように、誰かのために勇気を出して声をかけられる人になりたいと、私自身も背筋が伸びる思いがした出来事でした。
著者:鈴木遼子/30代・ライター。7歳と6歳の年子の男の子を育てる母。毎日パワフルに活動する子どもたちに振り回される日々だが、大好きなコンビニスイーツを食べて体力を回復している。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)