待ち望んだ新しい命と、ほのかな不安
私たちの家の近くには兄夫婦が住んでおり、4歳になる双子の姪っ子たちがいます。私は昔から子どもが好きで、親族の集まりではよく彼女たちの遊び相手をしていました。元気いっぱいの姪っ子たちの成長を見るのは私自身の楽しみでもあり、ほっこりする時間だったのです。
しかし、ただ一つ気がかりだったのは、義姉の存在でした。彼女は「双子の育児は本当に大変」「自分の時間がまったくない」とよく口にしており、私がおなかを大きくしている臨月の時期になっても、「今日も少しだけ預かってくれない?」と、何かにつけて育児を押し付けてこようとしたのです。
身勝手すぎる要求
臨月に入ったある日の夜、私は急な腹痛に襲われました。念のため夫に付き添われて病院へ向かうと、大事をとってそのまま数日間入院して様子を見ることになりました。義姉にもその旨は夫から簡単に伝えてもらっていたはずでした。
しかしその翌日。病室のベッドで安静にしていると、マナーモードにしていた私のスマートフォンが光りました。画面を見ると、義姉からメッセージが。
「今日も子ども預かって!」
「双子の姪っ子の面倒見られて嬉しいでしょ?♡」
私は自分の目を疑いました。私が体調を崩しているかもしれないという心配はおろか、配慮の言葉も一切ありません。私を都合の良いベビーシッターとしか思っていない無神経な言葉とハートマークに、静かな怒りが込み上げてきました。私は呆れ果てながら、事実だけを短く打ち込んで返信しました。
「入院になったので無理です」
病室での決断と、巻き込まれる家族
私のメッセージを見た義姉から、今度は鬼のように連続でLINEのメッセージが届き始めました。
「え、いつから!?」
「家にいないってこと!?」
「娘たち、家の前に置いてきたんだけど!」
どうやら義姉は、私が居留守を使っていると思い込み、子どもたちを直接預けようと家まで来たようです。けれど私が応答しなかったため、ちょうど通りかかった隣人に「すぐ戻りますので、少しだけ見ていてもらえませんか」と頼み、そのまま帰ってしまったのでした。病室のベッドでは通話ができないため、私が文字で事情を説明しようと焦っていると……ちょうど面会に来ていた夫が異変に気づきました。
画面を見せながら事情を説明すると、夫は激怒。「病室で無理してやり取りしなくていい。俺が話す」と言ってスマートフォンを預かり、すぐに病室を出て通話スペースへと向かいました。そして義姉に電話をかけ、さらに事態の異常さを知らせるために兄へも連絡を入れてくれたのです。事情を知った兄は、仕事を抜け出して私の家の前へと急行してくれました。
暴かれた「外せない用事」と、呆れた言い訳
私の家の前で待っていた姪っ子たちを兄は、無事保護。子どもたちを一旦実家に預け、兄は帰ってきた義姉に問い詰めたそうです。
「入院中の妊婦に、何を無理やり押し付けようとしてるんだ!」
「子どもたちを置いてまで外せない大事な用事ってなんだ」
しどろもどろになる義姉から兄がスマートフォンを取り上げると、そこには衝撃の事実が隠されていました。義姉の「外せない用事」とは、若い男性とのデートだったのです。さらに問い詰めると、義姉は育児の息抜きと称してホストクラブに通い詰め、家のお金にまで手をつけていたことが判明しました。その額はなんと500万円。
後日、兄に連れられて病室のデイルーム(面会室)へ謝罪に来た義姉は、「ワンオペ育児がつらくて息抜きが必要だったの!あなたも同じ母親なら私の気持ちわかるでしょ?」と泣きついてきました。しかし、私は冷静に首を横に振りました。
「自分の遊びのために、子どもを蔑ろにして妊婦に責任を押し付ける人を、私は母親として理解することはできません」
私のきっぱりとした言葉に、義姉は返す言葉を失い、その場に崩れ落ちました。
身勝手な義姉の末路と、取り戻した平穏
その後、激怒した兄から離婚を突きつけられ、2人は正式に別れることになりました。ホストに貢いだ500万円の返済は義姉自身が背負うことになり、頼りにしていた実家からも呆れられて絶縁状態に。今は慰謝料と借金の返済に追われ、一人ぼっちで働き詰めの苦しい生活を送っているそうです。
一方、兄は実家の両親の強力なサポートを受けながら、シングルファザーとして双子に愛情を注いで育てています。
そして私は無事に退院し、元気な女の子を出産することができました。今では双子の姪っ子たちもすっかり「お姉ちゃん」の顔になり、わが家に遊びに来ては娘をとてもかわいがってくれています。
◇ ◇ ◇
今回のように、子どもを家の外に放置して出かける行為は、ケースによってはネグレクト(育児放棄)と判断される可能性もあります。
また虐待が疑われる場合、周囲の大人には通告の義務があり、児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」では、匿名で相談することも可能です。
ただ子育ては、ひとりで抱え込むものではありません。自治体の相談窓口や子育て支援サービス、病児保育などを活用し、保護者の負担を軽減しながら、子どもの安全を守っていきたいですね。
【取材時期:2026年3月】
※本記事は寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。