こんにちは、助産師・国際ラクテーションコンサルタントの榎本です。妊婦さんなら誰でも、なるべくラクにお産がしたいと思うものですよね。
今回は、妊娠後期に入った妊婦さんへ、出産に向けて会陰のマッサージやオイルパックの効果や方法についてお話したいと思います。
会陰マッサージの効果は?
会陰(えいん)とは、女性の膣と肛門の間にある部分です。出産時に赤ちゃんの頭の圧迫で薄く引き伸ばされていきます。赤ちゃんの頭が出てくるときに裂傷することもあり、大きく裂傷すると予測された場合には予防的に切開します。この会陰の皮膚をマッサージで伸びやすく柔らかくすることができます。
効果としては、
・初産婦さんは、妊娠34週以降に会陰マッサージを実施した場合、実施しなかった場合と比較して縫合が必要な会陰裂傷や会陰切開のリスクが減少した。
・経産婦さんは、会陰裂傷のリスクは減少しなかったものの、会陰マッサージを実施したほうが産後3カ月の時点での会陰部の痛みが少なかった
という研究報告があります。
しかし、ほぼ全例で会陰切開をしている産院があったり、必ずしも会陰マッサージをしていると裂傷しないというわけではありません。
とはいえ、会陰マッサージは、産後の痛みや傷の大きさを軽減できることが多いといえます。
マッサージはいつから?準備するものや注意点は?
妊娠34週以降で、体調が良く、おなかの張りなどがないときにしましょう。お風呂上がりなど、体が温まって血流が良くなっているときが効果的です。妊娠経過で切迫早産などにより、医師からの安静の指示がある方は控えて、正期産に入ってから(妊娠37週以降)にしましょう。
マッサージの回数は、週に1.5回未満で効果がみられたという報告があり、週に1〜2回程度、1回5〜10分程度で十分です。会陰マッサージの際には、植物性のオイルを使用します。主な植物性オイルには、ホホバオイル、オリーブオイル、カレンドゥラオイル、スイートアーモンドオイルなどがあります。
マッサージをする前には、パッチテスト(腕の内側などに10円玉大にオイルをつけて、少し時間をおいて赤みや痒みがないか確認)をしましょう。
会陰マッサージはどうやるの?
体勢は立った状態で、片足を安定した椅子などに乗せるとやりやすくなります。転倒には十分気をつけてください。手を清潔にして、爪は短く切っておきます。
膣の下側の会陰にオイルをつけてから、オイルをつけた親指を膣に入れて、膣を中心として3〜9時の方向をマッサージしていきます。親指を立てるようにし、他の指は握るとやりやすいと思います。肛門方向へゆっくり押し下げるようにします。指を挿入する深さは最初は浅くし、慣れてきたら親指第一関節ぐらいまで入れてみましょう。
かんたん会陰オイルパックとは?
会陰マッサージの他に、会陰のオイルパックも効果的です。オイルが浸透して皮膚がやわらかくなります。やり方はとても簡単です。
【1】 コットンにオイルを浸し会陰の部分に当てます。
【2】 下着が汚れないように、ナプキンなどをあて、30分~1時間浸透させます。
会陰マッサージの効果は、会陰の裂傷予防だけでなく、赤ちゃんの出口である膣や会陰に実際に触れて、出産時の心構えや出産のイメージがついてくるという効果もあるようです。
出産に向けての準備として、試してみてくださいね。
引用参考文献
助産雑誌 72巻12号 (2018年12月 pp.936-937)
竹内翔子 「会陰裂傷は会陰マッサージで軽減できる?」