しかし、その幸せは長くは続きませんでした――。
すれ違いの日々
妊娠がわかったころから、夫の様子が明らかに変わっていきました。
家ではスマートフォンを見て笑っていることが増え、私が話しかけても上の空。平日は「仕事の付き合い」と言って帰宅が遅くなり、休日も外出ばかりで、家にいる時間はほとんどありませんでした。
思い切って「最近、少し冷たくない?」と聞いたこともありました。けれど夫は「気のせいだよ」と軽く流すだけで、真剣に向き合おうとはしませんでした。
その態度に強い違和感を覚えた私は、悩んだ末に興信所へ調査を依頼しました。
夫の裏切り
数週間後、調査結果を受け取ったときの衝撃は、今でも忘れられません。
そこには、夫が複数の女性と関係を持っている証拠が記録されていたのです。写真や行動記録は言い逃れできるものではなく、私はただ呆然とするしかありませんでした。
この人とこの先、子どもを育てていくことはできない――。
そう思った私は、弁護士に相談したうえで、慰謝料と養育費を請求する意思を伝え、離婚を切り出しました。
夫は必死に謝ってきましたが、もう私の気持ちが戻ることはありません。最終的に離婚は成立し、元夫は家を出ていきました。
突然の訪問者
それから数年後――私は子どもと2人で、穏やかな生活を送っていました。
そんなある日の午後、インターホンが鳴り、見知らぬ女性が訪ねてきたのです。
ドアを開けた瞬間、女性は開口一番こう言いました。
「あなたのご主人と付き合っています。私、ご主人の子どもを妊娠しているんです」
「だから早く離婚して、この家を出ていってください」
あまりに突然の言葉に、しばらく状況が理解できませんでした。一度深呼吸をして、気持ちを落ち着けてから私はこう告げました。
「私はすでに数年前に離婚しています」
「それに、この家は私の父の名義です」
驚いた様子で言葉を失った女性。不思議に思って詳しく話を聞くと、元夫は彼女に対して「妻が離婚に応じず、自分の家に居座っている」と説明していたそうです。
私は念のため、自分と子どもの安全を考え、どうやってこの家を知ったのかを尋ねました。
「彼の車のカーナビに『自宅』って登録されていたから……」
元夫は車を買い替えておらず、この場所を「自宅」として登録したままだったそう。それを彼女が見つけてしまったのです。
元夫の話を信じた彼女は、「彼を助けなければ」と思い込み、直接私に会いに来たとのことでした。
驚きの真実
事情をすべて理解した彼女は、何度も何度も頭を下げて謝罪してくれました。
「妊娠しているというのは嘘です」
「あなたを追い出すためにとっさに言ってしまいました……本当に申し訳ありませんでした」
私が元夫と離婚した経緯を話すと、彼女にも思うところがあったようで、「ちょっと彼との付き合いについて、しっかり考えてみます……」と言っていました。
おそらく元夫は変わらず、複数の女性と同時に関係を持っているのでしょう。彼女自身も元夫の言動に不信感を抱いているようだったので、関係を絶つ決断をしているといいな、と思っています。
あのとき離婚を決断したことは、間違っていなかったと心から思っています。過去の出来事が完全に消えることはありませんが、今は子どもと穏やかに暮らせていることが何よりの救いです。
これからも、子どもと2人、しっかり前を向いて生きていこうと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。