お世話になった料亭のピンチ
料亭と関わるようになったのは、入社して間もないころの失敗がきっかけです。飲み会で泥酔し、店の近くで動けなくなっていたところを、女将に助けてもらいました。
その後、お礼も兼ねて何度か通ううちに顔を覚えてもらい、女将とは仕事や将来のことを相談する関係に。頻繁に通う中で、店のことや常連客の雰囲気も少しずつ知るようになり、自然と距離が縮まっていきました。
転機が訪れたのは1年前のことです。店の経理や運営を支えていたご主人が急逝し、状況は一変。もともと人手に余裕があったわけではなく、さらに常連客の減少も重なり、女将ひとりでは立て直しが難しい状態だったようで……。
女将から「このままだと店を閉めるしかないかもしれない」と聞いたとき、僕は何とか料亭の力になりたいと思いました。
最初は外部の立場で、売上やオペレーションの見直しを手伝うところから関わることに。本業と並行しながら週末や平日の夜に通い、現場の状況を把握していきましたが、次第に中途半端な関わり方では限界を感じて……。女将や古くから働くスタッフとも話し合いを重ねた末、会社を辞め本格的に料亭の運営に関わることを決意しました。
課題をどう乗り越えるか
いざ現場に入ると、課題は山積みでした。予約は手書き管理で、忙しい日には確認ミスが起きかけることもあり、人手も足りていない様子。
僕自身もすぐに役に立てたわけではありません。配膳や片付けの動き一つにも作法があり、最初は戸惑うことばかりで……。常連客との距離感も難しく、うまくいかないと頭を悩ませたこともありました。
また、僕が提案した改善施策も、料亭で働く人たちからすんなり受け入れられたわけではありません。例えば予約管理のデジタル化や、予約システムの導入については「今までのやり方で十分だ」という声や「常連に嫌がられるのではないか」という懸念の声もありました。
しかし、最終的には
①団体客や新規予約のみ予約システムを導入
②常連客は従来通り柔軟に対応
といった形で折り合いをつけ、少しずつ運用を変えていくことに。小さな調整の積み重ねでしたが、徐々に現場にも受け入れられていきました。
元同期からのキャンセル
そんな中、前職の会社から20人規模の予約が入りました。幹事は、以前から僕に対抗意識を持っていた元同期。少し引っかかるものはありましたが、店を選んでくれた以上はきちんと対応しようと準備を進めていました。
ところが予約当日の昼、その同期から電話がかかってきて……。「やっぱり別の店でやることになったからキャンセルで」と、軽い調子で言われたのです。どうやら他の店とも並行して検討していたらしく、直前で変更する予定だったとのこと。
さらに、キャンセル料についても支払う気がない様子でしたが、予約時にはキャンセル規定への同意を必須にしていました。僕が
「ご予約時に同意いただいた通り、当日キャンセルの場合は規定に基づいてご請求が発生します」
と伝えると、電話の向こうから「は?」と動揺の声が聞こえてきて……。同期は、きちんと同意の文面を読んでいなかったのだと思います。その後「ちょっと待て」と言って通話は終わりました。しばらくして折り返しがあり、「予定通り利用する」との連絡がありました。幹事としての立場や、当店のキャンセル料と別店舗での食事代が二重に発生するリスクを考えた結果だったのだと思います。
その後とこれから
当日、僕がお世話になっていた上司からは「キャンセルの件でひと悶着あったんだって? 迷惑をかけて申し訳なかった」と謝罪の言葉がありました。同期も隣で気まずそうにしながらも謝罪してくれました。
若干の気まずい雰囲気はありましたが、当日は「この料亭の料理おいしいね!」や「雰囲気いいね」と褒めてもらいました!
現在は店内営業に加え、弁当のデリバリーにも取り組んでいます。ただ、こちらも順調なことばかりではなく、オペレーションが追いつかずに提供が遅れてしまうなど、小さな失敗も経験しています。
それでも、少しずつ改善を重ねる中で、少しずつ形になってきました。料亭の再建はまだ道半ばです。すぐに結果が出る仕事ではありませんが、あのとき受けた恩を少しでも返せるように、これからも地道に取り組んでいきたいと思います!
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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