旅行は最悪なスタートから始まる
その日、まずは予定していた旅行先の人気店へ向かいました。到着すると、店の前にはすでに長い列ができていました。
彼はその光景を目にするなり、露骨に顔をしかめて「俺、並ぶとか無理なんだよね。予定変えない?」と不満そうに言います。思いがけない言葉に、私は唖然としました。
すると彼は、私の返事も待たずに「俺、車で待ってるわ」と言い、シートを倒してくつろぎ始めたのです。
結局、私は一人で列に並ぶことになりました。カップルでにぎわう店内に一人で入るこの状況は、まるで罰ゲームのよう。楽しみにしていた気持ちは、その瞬間、一気にしぼんでしまいました。
沈み込む私の気持ちと彼の一言
しばらくして車へ戻ると、彼は眠っていました。2人で楽しむはずだった旅行なのに、という思いが頭から離れず、私はモヤモヤした気持ちを抱えたまま彼が起きるのをじっと待っていました。
やがて目を覚ました彼は、何事もなかったかのように次の目的地へ。ところが数分後、私の沈んだ様子に気づいた彼は車を止めて、こう言い放ったのです。
「せっかく仕事の休みを合わせて旅行に来ているのに、その態度は何?」と。
謝るどころか、まるで私が悪いかのような言い方に、何も言い返せませんでした。
彼の機嫌を気にしてばかりの旅行
その夜、気持ちを切り替えようと翌日の予定を彼に確認しました。「明日は予約している体験があるから、並ばなくても大丈夫だよ」と伝えると、少し面倒くさそうに「混んでる場所は嫌だな。適当に食べ歩きして帰ろうか」と彼。
私はどうしても予定通り楽しみたくて、そのままのプランで行きたいと伝えました。けれど彼はどこか不機嫌そうなまま。
気づけば私は、彼の機嫌ばかりを気にしていました。楽しいはずの旅行なのに、どこかずっと一人でいるような感覚だけが残っていました。
私はこの旅行を思い返すたび、胸の奥が静かに重たくなります。楽しかった記憶よりも、一人で並んでいた時間や、冷えきった車内の空気ばかりが鮮明によみがえるからです。
旅行は、普段見えていなかった相手の一面が見えることがあります。非日常の中での言動は、その人の価値観や本質を、よりはっきりと映し出すものです。
当時の私は、「これくらい我慢すればいい」「せっかくの旅行だから空気を悪くしたくない」と、自分の気持ちにふたをしていました。大好きな彼と、少しでもこの旅行を楽しみたい。その気持ちが強くて、本音を飲み込んでしまっていたのだと思います。
著者:榊原愛七/30代女性・1児の母。看護師・カウンセラー兼、恋愛エピソードを執筆するライター。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年3月)
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