こんにちは、東京衛生病院小児科の保田典子です。私生活では7歳、5歳、3歳の子育て中です。私も子どもたちが赤ちゃんの時は毎日使っていた抱っこ紐。下の子も幼稚園生になりだいぶ使う日が減りました。日々診療でさまざまな抱っこ紐を「私ならこんな視点で選ぶなぁ」と見ています。その「視点」を今回はご紹介します!
抱っこ紐の種類って?
世の中にはさまざまな抱っこ紐があります。自分たちの生活スタイルに合ったものを選びたいものですよね。抱っこ紐の種類としては
- ベビーキャリー:肩紐、腰ベルト(腰ベルトはないものも)がついているもの
- ヒップシート:ウエストポーチの上に赤ちゃんを座らせる感じのもの
- スリング:1枚布の中に赤ちゃんとすっぽりと入れるタイプ
- クロス抱っこ紐:布がクロスに交わっている幅のある「たすき」のようなタイプ
- ベビーラップ:これも1枚布ですが、巻き方次第で様々な抱き方ができるタイプ
と大きく5つに分けられるかなと思います。
抱っこ紐のメリット・デメリット
抱っこ紐はそれぞれメリット・デメリットがあります。
腰ベルトがあるタイプは抱く人の体がラクになりますし、スリングやクロス抱っこ紐、ベビーラップはコンパクトで使わない時も持ち運びしやすいです。
スリングは窒息に気を付けさえすれば、生後半年を過ぎてスリングから首が出るくらいになった赤ちゃんがスリングに抱っこされているのはオシャレで可愛いらしいな、と思います。ヒップシートをはじめ、前向き抱っこができるのは高月齢の赤ちゃんは、視界が広がって楽しく移動ができるかもしれません。
私は、ベビーキャリー、クロス抱っこ紐、ベビーラップと3種類を買って使い分けていました。(ヒップシートはほとんどない時代です)
子どもたちが小さいとき、3人とも歩けなくなってしまったら、クロス抱っこ紐で一番下を、その後ベビーキャリーで真ん中をおんぶし、一番上はベビーカーで運ぶ。。。という大技をした事もあります…(周りにびっくりされますが)!
小児科医的視点で選ぶ、抱っこ紐を選ぶPOINT
小児科医的には「安全性」と「発達に悪くないか」が最重要視点になります。そこで、抱っこ紐に関しては
●首が安定するか
●股関節に良いか
を一番重視していて、さらに、
●「良い姿勢になる抱っこ紐」であれば尚良いな、と思って選びました。詳しく解説します。
首が安定するか
生まれたばかり〜首がすわるまでも抱っこ紐は使えますが、一番気をつけたいのは“首が安定するか”です。低月齢時から縦抱きもできる抱っこ紐もありますが、しっかり首がホールドされているものを使いたいものです。
また、首がすわったあとも、“寝ているときに首が曲がりすぎて気道を圧迫しないか”を気をつけたほうがいいです。
スリングは、抱っこ中の窒息を疑わせる事件がいくつかありますが、ほぼ首がすわっている生後3カ月の赤ちゃんでも窒息の報告があります。気道が一番広くなるのは、首を軽く後ろに倒している状態なので、首が前に曲がってしまう抱き方には気をつけましょう。
股関節にいいか
赤ちゃんのベストな姿勢というのは「frog position」といって、ガニ股で股関節が曲がっている状態です。
この状態だと股関節をきちんと成長させることができ、股関節脱臼を防ぐことができます。1歳すぎてもう歩くようになった子は、この体位はそこまで気にしなくていいですが、0歳のときにはきちんとした体位で抱っこしてあげましょう。
どの抱っこ紐でもこの「frog position」ができていないことがあります。また、抱っこ紐ではないですが、おくるみで包むときも股関節は”曲げて”くるんであげてくださいね。
できれば姿勢も気を付けて
0歳の赤ちゃんの自然な姿勢は、ゆるく背中が曲がっている姿勢です。胸に対面抱っこしてあげると、その自然な姿勢を取りやすいと言われています。
最近前向き抱っこの赤ちゃんが増えていますが、あまりに小さいと腰が反りすぎてしまうため、私は生後9カ月くらい経ち、腰がしっかりしてからがいいのではないかと思っています。
安心安全で生活がラクになる抱っこ紐を!
今回は姿勢をメインに選び方を見てきましたが、抱っこ紐で一番多いのは“落下事故”です。正しい使い方をして、落下を防ぎましょう。
抱っこでスキンシップをたくさんすることは、赤ちゃんの精神的発達にもとても良いと思います。ぜひ、抱き方、安全性に気をつけつつ、楽しい抱っこライフを送ってくださいね!