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「つらい生検までしたのに原因不明」大学病院の主治医が提案した検査で判明した病名は【医師解説あり】

40代に入った私は、めまいを起こし、病院で診察を受けました。血液検査で異常が見つかったものの、その原因はわからず、薬の補充療法や食事の工夫でやり過ごす日々。その後、大学病院で、手術のようなつらい検査を受けましたが、それでも原因は不明のまま。ところが、念のために受けた簡単な検査で、意外な病気が判明するのです……。【医師解説あり】

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師菊池大和先生
医療法人ONE きくち総合診療クリニック 理事長・院長

地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。
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体質なの?4年以上も服薬しながら体調維持

40歳になったばかりのころの話です。仕事中、職場でめまいが治まらず体調を崩した私は、近くの内科を受診。すると血中の電解質が異常に少ないことが判明したのです。

 

医師は「原因はわからないが、おそらく体質だろう」と話し、薬での補充療法を始めました。

 

私は服薬を続けるとともに、野菜や果物を多くとるなどして体調を維持。そうやって約4年以上もの間やり過ごしていましたが、血中の数値は、なかなか改善しません。

 

そんなある日、いつも通り検査と診察を受けると、医師が「一度、大学病院で調べたほうがいい。今回は腎臓の数値も悪いし、電解質が少ない原因もわかるかも」と言います。私は少し不安があったものの、紹介状を持って大学病院へ向かうことになりました。

 

大学病院で腎生検…痛くてつらくて散々な目に

大学病院の新しい主治医は、原因となる病気を見つけるために、検査の予定を立てていきました。まずは「腎生検」という生検検査。局所麻酔を用いて、超音波(エコー)画像を見ながら背中から針を刺し、組織を採取します。腎生検で現在の腎臓の病態(活動性・慢性化)を直接観察し、もしそれでも原因が特定できない場合は、「遺伝子検査」も考えているということでした。

 

腎生検は約30分の処置時間でしたが、その後ベッドの上で麻酔から目が覚めると、背中から突き抜けるような痛みと高熱……。痛くて痛くてたまりません。出血リスクを避けるため約6〜12時間は絶対安静。穿刺(せんし)部位の圧迫止血がおこなわれ、少しも動くことができず、私は何度もナースコールを押し、鎮痛剤を投与してもらいながら、もがき苦しみました。

 

その後、血尿や腰痛が合併症としてあることから数日間入院し、経過観察を経て退院。約2〜3週間は腹圧をかける激しい運動や重労働が制限されるため、私は仕事を休み、なかなか引かない背中やおなか付近の痛みに、ただひたすら耐え続けたのです。

 

 

腎生検ではわからず遺伝子検査へ…ついに黒幕が判明!

退院してから約1カ月後、腎生検の結果を聞くために再び主治医の元へ。しかし、主治医は「残念ながら今回の検査では、僕が疑う腎臓の病気の有無はわからず、電解質が少ない原因は今のところ不明です」と申し訳なさそうに説明します。

 

私は「そうですか」と答えたものの、失望感でいっぱい。モヤモヤな気持ちが募るばかりでした。主治医は「やはり次は遺伝子検査をしましょう」と提案。私は、また空振りになるのではと思いつつも、簡単な検査だということなので承諾し受検しました。

 

後日、再び結果説明で訪れると、主治医はいきなり「遺伝子検査で変異が見つかりました」と切り出します。そして「症状の原因となる病気がわかりました。ギッテルマン症候群という遺伝性腎臓病です」と続けたのです。

 

「ギッテルマン症候群」とは聞きなれない病名でしたが、主治医の説明によると、腎臓の尿細管の機能障害により、電解質のナトリウム(塩分)やカリウム、マグネシウムが尿中に漏れ出てしまう先天性の遺伝性疾患。ある遺伝子の機能喪失性変異によって発症するそうです。私の血中数値の乱れや体調不良は、これが“黒幕”だったのです。

 

私はこのとき、やはり病気だったかという悲しい気持ちの半面、ようやく不調の原因がわかり、ホッとしたことを覚えています。

 

まとめ

ギッテルマン症候群は、一時的な薬の服用で治ることはなく、生涯にわたり治療・管理が必要となる場合がほとんど。私は現在も、薬の補充療法を続け、食事や生活にも気を配りながら体調を維持しています。

 

「何で自分がこんな病気になるのか」という悲しさ・悔しさはありましたが、病気はいつ誰がなってもおかしくないものです。もんもんとした日々を送るより、病気を受け止め、理解して、向き合って笑顔で生きていかなければと、今は強く感じています。いつか治癒する日が来ることを信じて……。

 

医師による解説:「生検」でわからなかった理由

4年以上も原因不明だった不調。なぜ生検でもわからず、遺伝子検査で判明したのか。数値の乱れに潜むリスクと、診断に至るプロセスを詳しく解説します。

 

「生検で異常なし」が診断への一歩

腎生検は腎臓の「構造」を調べる検査ですが、ギッテルマン症候群は細胞の「働き(遺伝子)」の異常です。組織に異常がないと確認されること自体が、実はこの病気を疑い、正しい診断へと近づくための重要なプロセスなのです。

 

「体質」という言葉に隠れたリスク

血液中の電解質(カリウムやマグネシウム)が低い状態を放置すると、不整脈や筋力の低下を招く恐れがあります。体質だからと片付けず、数値の異常が続く場合は、今回のように遺伝子レベルでの精査を検討することが極めて重要です。

 

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

監修:菊池大和先生(医療法人ONE きくち総合診療クリニック 理事長・院長)

著者:雪嵐 ルイ/40代女性。高齢の母とラブラドール犬との3人暮らし。酒は飲めないが、酒にまつわる香りを好む。ある一つの酒のにおいが好きな香りフェチ。

イラスト:sawawa

 

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年3月)

 

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