新生児のお世話は体力的にも精神的にもきつく、自宅では十分に療養できないと考えていた私。上の子のときに里帰りをしてとても助かった経験から、今回も産後は実家に帰ろうと考えていました。
1カ月ほど実家に身を寄せたいと伝えると、夫はそれなら自分と娘も義実家へ行くと言い出しました。家事が苦手で娘の食事に自信がない、義実家なら出勤時間も大きく変わらず義両親が助けてくれる、というのが夫の言い分です。
娘の学校の送り迎えも義両親がしてくれるとのことで、義両親には申し訳ないけれど、それが一番安心かもしれないと私も同意しました。こうして、産後の1カ月間はそれぞれの実家で過ごすことが決まったのです。
産後、娘と離れて生活
出産を終え、実家での生活が始まりました。生まれたばかりの赤ちゃんはとても元気で、よく飲みよく泣き、私にとって癒しのような存在です。
しかし、頭の片隅では常に娘のことが気になっていました。こんなに長く離れたことはありません。夫は、娘も元気で毎日楽しそうにしていると言います。寂しがっていないかと聞いても、泣いたりわがままを言ったりはしていないとのことでした。
そんな話を聞いて安心しながらも、どこか腑に落ちない気持ちが残ります。あんなに甘えん坊だった娘が、そんなにケロッと過ごせているとは、なかなか想像しにくかったのです。
夫の許せない行動
翌週の午後、娘から電話がかかってきました。最初は義実家での様子を聞こうと軽い気持ちで会話をしていたのですが、娘の口から出てきたのは、私の想像をはるかに超えた内容でした。
なんと義母と近くに住む義姉が旅行を計画し、夫もそれに同行したというのです。しかし、娘は「内孫じゃないから留守番ね」と義母に突き放されたそう。「旅行に連れていってもらえなかった」と泣きそうな声で話しました。
今、義実家には義父と娘しかいないとのこと。義父は自分自身の身の回りですら満足にできない人なので、娘は最低限のお世話しかされず、心細い思いをしているに違いありません。
さらに、義母は日常的に娘に嫌味を言い、私のことも口汚く罵っていたといいます。義父はそれを黙って聞くばかりで、夫も笑いながら見ているだけだったとのことでした。
娘がそっとつぶやいたひと言が、今でも耳に残っています。「悲しかったけど、私泣かなかったよ。私が泣いたらおばあちゃんが喜びそうだから」
その言葉に、私は絶句しました。ずっと1人で耐えていたのかと問うと、赤ちゃんが生まれて大変だったから心配させたくなかったのだと、娘は答えたのです。娘の健気さと、それを見過ごした夫への怒りが、一度に押し寄せてきました。
夫の言い訳
すぐに実父へ連絡し、義実家へ娘を迎えに行きました。実父が義実家に到着したとき、娘は走り寄ってきて泣きながら抱きついたといいます。
「おじいちゃん、寂しかったよ」と言いながら、ずっと我慢していたものをすべて解き放つように泣いていたと聞きました。私と電話しているときはずっと気丈に振る舞っていた娘が、本当は深く傷ついていたのだと、改めて思い知ったのです。
翌日、旅行から戻った夫は、娘がいないことに気付いて大慌て! 事情を知っていた義父もその時は不在だったようで、慌てて私に電話をかけてきました。
私は「なぜ娘を置いていったのか?」「あなたは私の味方ではないのか?」と問い詰めました。
夫は娘を置いて旅行に行ったことに対し「親孝行に専念したいから置いていった」「そもそも娘も行かないと言った」と主張。私に対する義母の悪口に関しても「言わせておけば気が済むからそうした」「他人なのだから不満があっても仕方がない」と言います。
いずれももっともらしく話しますが、私には到底受け入れられません。「娘がお義母さんに悪く言われても、あなたは庇ってあげなかったみたいね」と告げると、夫は何も言い返せませんでした。
離婚を決意
反省しているという言葉を繰り返す夫に、私の心は動きませんでした。娘が置き去りにされた事実も、義両親に傷つけられた事実も、消えることはないのです。
義両親にも謝罪してほしいと伝えると、夫は「母さんたちにも悪気はなかったんだし、そこまでしなくても……」と、なおも親を庇う言葉を口にしました。
私が「離婚しようかと思ってる」と告げると、夫は待ってくれと繰り返します。それでも決意は揺らぎませんでした。自分の親をかばうために娘を傷つける側に回る人に、もう家族を任せることはできないと感じたのです。
「これからは弁護士を通して話し合いましょう」と告げ、話し合いの場を法的な場に移すことにしました。
夫の末路
その後、夫は1人で私の実家を訪ねてきましたが、義両親が謝罪に来ることはありません。
夫は当初拒んでいましたが、弁護士を介して私の固い決意と数々の証拠を突きつけると、最終的には条件を飲んで離婚届に判を押しました。
慣れない独り身での生活や、慰謝料・養育費の支払いが重なった夫は、やがて心身ともに余裕をなくし仕事にも支障をきたすようになったそうです。最後は義実家へ転がり込み、年金暮らしの義両親に頼る生活を送っていると聞きました。
一方、私と娘、そして赤ちゃんは実家でゆっくりと新しい生活をスタートしています。娘は下の子の世話をよくしてくれて、毎日のように話しかけたり、あやしてくれたりしています。娘がこんなにも優しく成長している姿を見ると、胸がいっぱいになります。
2人とも、これからも元気に育ってほしいと、毎日願っています。
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子どもは、大人が思う以上に状況をしっかりと把握しています。ママに心配をかけたくないと1人で耐えていた今回の体験談のように、子どもは時に自分を犠牲にして親を守ろうとするのです。
だからこそ、子どもが安心して本音を話せる関係を日ごろから育てておくことが大切です。特に下の子の妊娠中や産後は後回しにしてしまいがちですが、意識的に一緒にのんびり過ごしたりたわいもない話を笑って聞いたりする時間を作れるといいですね。
【取材時期:2026年3月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています