産後はゆっくりからだを休めたいけれど、なかなかそういうわけにはいかないというのが現状です。疲労やストレスで体調を崩してしまうママも少なくありません。そんな中、増えてきているのが「産後ケア施設」です。
ベビーカレンダーでは、最近注目の産後ケア施設を訪問し、その特徴とこだわりについてインタビューしています。
産後ケア施設レポート第7回は、神奈川県横浜市にある「みやした助産院」の宮下美代子院長にお話を伺いました。
産後ケアを始めて十数年、現在は継続支援が必要な方中心

▲みやした助産院の宮下美代子院長
宮下院長「横浜市が産後ケアに助成金を出し、事業として開始したのが2013年ですが、みやした助産院産後母子ケアは、そのずいぶん前から行っていました。かつては母子ケアという看板は出していませんでしたが、みやした助産院で出産した人だけでなく、母乳外来や電話相談などで関わったお母さんから、『眠れないんです』とか、『支援者がいなくて大変』という話が出ると、『じゃあ、少し泊まって体を休めていく?』という感じでおこなっていたんです。
その時代は1泊や2泊で利用する人がほとんどだったので、お産入院の産婦さんのケアの傍らでおこなう程度でしたが、女優の小雪さんが韓国で産後ケアを受けた話が話題になって、一気に産後ケアの希望者が増えました。それも『1~3週間宿泊できないでしょうか?』っていう長期宿泊希望で。そこで、慌てて部屋数を増やして、宿泊がしっかりできるように改装しました。
それからまもなく、横浜市からの助成金が出ることになり、現在は、常時3~4人は産後ケアを利用される方がいらっしゃいます。1人目出産時に利用した方が2人目出産後にも利用するというようなリピーターの方も増えています」
産後ケアの宿泊室は、清潔感のある畳敷きのモダンな和室で、まるで実家に帰ったような気分に。お母さんは、赤ちゃんのお世話を手取り足取り教えてもらい、乳房のケアを受け、悩みも受け止めてもらいつつ、おいしい食事をいただいてひとりでお風呂に入るなどゆっくり過ごすことができます。希望により、上のお子さんと一緒の宿泊も可能。オプションで日中、上のお子さんの預かり保育をしてもらうこともできるそうです。


▲ゆったりとくつろげる浴室
現在、横浜市では、産後母子ケア事業として3カ所の病院と8カ所の助産院と連携し、産後4カ月未満のお母さんと赤ちゃんが低い負担で産後ケアを受けられるよう料金補助をおこなっています。補助制度を利用すれば、利用者は自費の1割負担で、宿泊型、日帰り型それぞれ7日間まで利用できます。
宮下院長「助成制度が始まって、利用される方への間口がとても広がりました。ただ、横浜市は希望者全員が産後ケア事業サービスを利用できるわけではないんです」
現在、横浜市では、利用申し込みをされた方に対し、行政から派遣された保健師さんや助産師さんが面談をして、必要度が高いと判断された方のみ利用可能という制度になっているとのこと。その結果、産後ケアを希望しても利用できないこともあるそうです。また、横浜市に住民票のない方も利用できません。
宮下院長「その場合は従来通り自費でのご利用も可能です。産後母子ケア事業サービス利用でも自費利用でも、ケアの内容は変わりません」