そんな私もようやく結婚が決まり、式の日取りや新婚旅行の行き先を幸せな気持ちで話し合っていた矢先のことでした。突然、婚約者から「好きな人ができた」と告げられ、一方的に婚約を破棄されたのです。
頭が真っ白になり、一人で泣き崩れていたその夜。追い打ちをかけるように妹からLINEが届きました。
「言いにくいことがあるんだけど、怒らないで聞いてくれる?」
画面に並んだのは、「お姉ちゃんの婚約者、私のことが好きみたい」という信じられない言葉。妹は彼から告白を受け、すでに交際を承諾したというのです。
「向こうから言い寄ってきたんだから私に非はない」「どうせ二人の仲は終わってたんでしょ?」
自分勝手な理屈を並べる妹に対し、怒りよりも深い傷がじわじわと押し寄せてきました。
「あなたのしていることは略奪だよ」と伝えると、妹は「私のほうがかわいいんだから仕方ないじゃん」と見下すように言い放ち、鼻で笑ったのです。
5年越しの再会
私は妹との連絡を絶ちました。しばらくして母から、妹を許してやれと言われましたが、傷ついている私の気持ちより妹が優先されているようで、母とも距離を置くことにしたのです。
それから5年が経ちました。
母が亡くなり、葬儀の手続きのために私は帰省しました。妹にもやむを得ず連絡をしましたが、一時的なものと決めています。手続きが終われば、また距離を置くつもりでいたのです。
5年ぶりに会った妹は何も変わっていませんでした。当時の私の元婚約者とはすぐに別れたようで、妹はまだ独身でいるよう。仲直りしようと繰り返しながら、葬儀に同席していた私のパートナーに目を向け、彼が喜ぶような言葉をさらりと口にします。
妹にはパートナーに近づかないようキツく言いましたが、妹は意味深に微笑んだだけでした。
「また破談にさせちゃうかも」
葬儀から3か月後、妹からメッセージが届きました。「またお姉ちゃんの婚約を破談にさせちゃうかも〜!」
内容を見た瞬間、全身が冷えていく感覚がしました。妹の話では、葬儀の席で私が喪主として慌ただしくしていた隙にパートナーと雑談を重ね、その際に職場を聞き出したとのこと。そこから自宅を特定し、接触を重ね、関係を持つに至ったのだというのです。
まるで武勇伝を語るように一部始終を話した後、妹は「昨日、私と結婚したいって言ってた」と嬉しそうに私に言いました。
そのメッセージを読み、一瞬息が止まりました。しかし、妹の話には、大きな矛盾があります。
プロポーズされたという“昨日”、パートナーはずっと私と一緒にいました。妹と会う時間などなかったはずです。
妹の相手は誰?
私はすぐにパートナーに連絡を取り、事実を確認しました。葬儀の後、妹と会ったり連絡を取ったりしたことがあるかを尋ねると、彼は首を振りました。葬儀の日以来、一切接触はないというのです。
では、妹が接触していた相手は誰だったのでしょう。答えはすぐにわかりました。
パートナーには双子の兄がいます。葬儀の日、車の運転ができない私たちのためにお兄さんが同行してくれました。そのまま、葬儀の手伝いをしてくれたのです。
彼らの外見は、ほぼ見分けがつかないほど似ています。パートナーがお兄さんを問い詰めると、すべてを認めました。
妹と接触していたという期間、お兄さんは同棲していた婚約者と喧嘩をしたそうでパートナーの部屋に泊まっていたよう。そこに妹が現れたのです。
妹は婚約者本人だと思って話しかけてきたのに、お兄さんはそれと気付きながら成りすまし続けていたのでした。
パートナーは激怒! その傍ら私はその事実をひとつひとつ整理し、妹に伝えることにしました。
略奪の落とし穴
「その人、婚約者じゃないから!」そう告げても、妹は信じようとしません。嘘をついて諦めさせようとしていると言い張ります。
私は感情を抑え、パートナーの兄が成りすましていたことを淡々と説明しました。
しばらくの沈黙ののち、妹は動揺し、騙されたと言い始めましたが、私からすると「何を今更……」という気持ちです。それに、結果として婚約者のいる男性と関係を持ち、その家庭を壊そうとした事実は変わりません。
「お兄さんの婚約者から、慰謝料や謝罪を求められるかもしれないね。覚悟しておきなね」と伝えておきました。
そして最後に「私たちは結婚を機に引っ越すことにしたの。もう二度と、あなたと会うことはないと思う」と、妹に別れを告げたのでした。
略奪妹の末路
私は宣言通り、パートナーと新居に引っ越し、無事入籍を済ませました。妹との連絡は絶ったままです。
彼は私を大切にしてくれる人で、とても信頼できる人です。ようやく本当に安心できる場所を見つけられた——そう思えるようになりました。
妹のその後については、知人を通じて遠回りに耳に入りました。経済的に困難な状況になっているようですが、詳しいことは知りませんし、知ろうとも思いません。
私は妹のことを、もう振り返らないと決めています。
◇ ◇ ◇
妹さんは「姉から奪うこと」そのものが目的になってしまい、相手が誰であるかという本質を見失っていたようですね。
他人の幸せを奪った先に、本当の幸福が待っていることはありません。他人の物を欲しがるだけの人生は、常に誰かと自分を比較し続け、いつまでも心が満たされることはないでしょう。
不誠実な関係はいずれ破綻します。時間をかけて誠実に築いた信頼関係こそが、たしかな基盤となるはずです。
【取材時期:2026年3月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています