思いやり駐車場で起きた迷惑行為
その日は、入り口近くの駐車場はどこも埋まっていました。息子をベビーカーに乗せるのも大変なため、「思いやり駐車区画利用証」を利用しようと指定の駐車場を見に行くと、ちょうど1台出ていく車が見えました。タイミングがよかったと思い、いざバックしようとモニターを見たところ、さっきまで誰もいなかったはずの駐車スペースに70歳くらいの女性が飛び込んできたのです。驚いてブレーキを踏み、確認すると大きな音で手をたたきながら何か叫んでいる様子。「なぜそこに?」と思ってバックモニターをよく見ていると、「ここはウチの!」と言わんばかりに自分を指さしながら、私の車を手で追い払うそぶりをしています。
私が窓を開けて「あの、私、利用証あるので……」と恐る恐る話すと、駐車スペースに立ちはだかった女性も同じ利用証を見せつけながら、「ウチもこれ持ってるわ! 娘と孫が来るから、あんたは他へ行きなさい!」と叫びました。どうやら、これから来るという自分の娘と孫が乗る車のために、体を張って駐車スペースを確保しようとしていたようです。ただ、ここは車を停めるための場所。人が立って場所取りをするのは危険ですし、マナー違反だと思いました。しかも先に来たのは私なのに……。そんな女性の行動にあっけに取られている間に、呼び込まれた黒い車がするっと入ってきて、思いやり駐車場に駐車してしまいました。
遠くから警備員が駆けつけてくれるも、時すでに遅し。女性は警備員に対しても「私たちは利用証を持ってるわ! 停めていいはずよ!」と利用証の所持を強気に主張。しかし、警備員は毅然とした態度で「利用証の有無にかかわらず、人による場所取りは禁止です。極めて危険な行為ですので絶対にやめてください」と厳重注意します。
そんな中、駐車場所がなくて困っていた私のもとに、30代ぐらいの女性が現われました。窓を開けると「私、今から出るので、ここに停めてください!」と言っています。どうやら一部始終を見ていたようで、親切にも困っていた私に声をかけてくれたのです。私と同じように小さな子どもを抱えた女性。ママ同士親近感の湧く思いでした。そして、私はこの女性のおかげで、思いやり駐車場内に車を停めることができたのです。
女性はさらに、黒い車の運転席に向かって「ルールを守れない方のせいで、同じ子連れが皆マナーが悪いと思われそうで本当に迷惑です。次はちゃんと空いている場所を探されたらどうですか」と、落ち着いたトーンで、しかし容赦のない正論を付け加えました。黒い車に乗っていた親子とその女性は、注意され気まずくなったのか、逃げるように足早に店内へ入っていったのでした。
毅然と対応してくれる周囲の人やルールに助けられた一件でした。この出来事をきっかけに困ったときこそ、譲り合いの精神を忘れずに、「子連れ様」と言われないよう、自分もマナーを守る側であり続けようと思いました。
著者:三枝美乃梨/30代・主婦。4歳の娘、2歳と1歳の息子の育児に明け暮れる母。休日は3人同時にお昼寝させたあと、静かな部屋で夫とゆっくりコーヒーを飲むのがルーティン。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年1月)