韓国の“お節介文化”の洗礼
異国の地での初めての育児。当時はまだ韓国語もおぼつかなく、毎日が手探りでとにかく精いっぱいでした。誰にも頼ることができず、周囲の視線にビクビクしながら歩いていたときのことです。スーパーへと向かう道中、背後から突然「アイゴー(あら〜)!ちょっとそこのお母さん、止まりなさい!」と鋭い声が響きました。
振り返ると、そこには見事なパンチパーマに、クッキリと描かれたアイラインも眉が迫力満点な60代くらいのアジュンマ(おばちゃん)が、鬼の形相で私を指さして立っていました。
そして「そんな薄着で赤ちゃんがかわいそう! 今すぐ靴下を履かせなさい! あ~かわいそうに!」とまくしたてられたのです。まだ言葉が完璧に理解できなかった私でも、その凄まじい威圧感と「不憫だ、かわいそうだ」というニュアンスだけは痛いほど伝わってきました。
しかし、外は汗が噴き出すような気温です。「暑いので……」と必死にジェスチャーを交えて言い返しましたが、それは火に油を注ぐだけでした。近くにいた別の通りすがりのアジュンマたちまで「何ごと?」と言わんばかりに次々と加勢してきたのです。
気づけば見知らぬ年配女性たちに囲まれて、「母親失格」と責められているかのような公開説教が始まり、私は情けなさと言葉にできない悔しさで涙がこぼれそうでした。
満員バスでの驚きの急展開
そんな「お節介」に疲れ果て、孤独を感じながらの帰り道、路線バスに乗車しました。満席の車内は激しく揺れ、私は買い物袋を抱えながら、泣きわめく娘をヒップシートに乗せて片腕で支え、必死に耐えていました。
とにかく倒れないよう、必死に足を踏ん張る私。そこへ追い打ちをかけるように、座っていたアジュンマがガシッと私の腕をつかみ、「赤ちゃん、こっちに貸しなさい!」と、有無を言わさぬ勢いで娘をひったくるように奪い取ったのです。すると、アジュンマは娘を自分の膝に乗せてあやし始めました。
驚く私をよそに、慣れた手つきで娘の背中をポンポンと叩き、「よしよし、お母さんは疲れてるんだから」とぶっきらぼうに呟くアジュンマ。言葉の壁にぶつかり、ひとりで戦っていた私の緊張が、その強引なやさしさによって一気に解け、こらえていた涙が溢れ出しました。
そのとき、アジュンマたちの土足で踏み込んでくるような「お節介」は、決して単なる批判ではなく、不器用で強引すぎるほどの愛情表現なのだと気づいたのです。
それ以来、街で「かわいそう」と叱られることがあっても、「気にかけてくれてありがとうございます」と、笑顔で受け流せるようになりました。育児は孤独に陥りがちですが、周囲からの厳しい声を「自分たちへの関心」と捉え直すだけで、世界はぐっと温かく変わるのだと学びました。
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昔ながらの感覚から、「赤ちゃんに靴下を履かせなさい」と声をかけられることもあるかもしれません。しかし、暑い日の外出時は、赤ちゃんの靴下は基本的に不要です。
赤ちゃんは足の裏からも熱を逃がして体温を調節しています。そのため、暑い屋外で靴下を履かせると熱がこもり、かえって熱中症のリスクを高めてしまうことがあります。一方で、寒い季節には、屋外での冷え対策として履かせてあげると安心です。
大切なのは、その時々の暑さや寒さに合わせて、柔軟に対応することです。赤ちゃんの背中やおなかに触れ、汗をかいていないかなどを確認しながら、外出先の環境に合った快適な服装を選んであげてくださいね。
監修:松井 潔 先生(小児科医)
著者:高橋くるみ/40代女性。韓国在住。元アスリート。2022年生まれと2025年生まれの姉妹と夫の4人暮らし。海外での出産と子育てを経験。現在は専業主婦をしながら、日常の出来事や子育てのリアルを文章で発信中。海外生活の中で感じた文化の違いや、思わず笑ってしまう出来事を書くのが好き。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)
※AI生成画像を使用しています