夫は、高校3年生の息子が地元の公立高校に通っていることも気に入らないらしく、「優秀な俺の血が入っているのにあいつ(息子)は出来が悪い。バカな母親の遺伝子が入っているから仕方ないか」と暴言を吐くのです。
夫は、自分の兄やいとこなど、親族に自分を上回る高学歴の人が多いことにコンプレックスを抱いており、そのうっぷんを私たちにぶつけて自尊心を保っていたのです。
ある日、久しぶりに会った親戚の娘が有名大学に通っていると聞いた夫は、「親戚の集まりで肩身が狭い。記念でいいから東大も受験しろ」と、息子に理不尽な命令をしてきました。
息子のことを何も知らない夫
夫は息子を「出来損ない」と決めつけていましたが、実は息子は家から近くて通いやすいという理由で地元の公立高校を選んだだけで、高校1年生のころからオンライン塾を活用して猛勉強を重ねていました。
全国模試でも常に上位の成績だったのですが、子育てに一切関わらず成績表を見たことすらない夫は、その事実を知る由もありません。
受験本番が近づいても、夫は「どうせ名前を書けば入れるような三流大学にしか行けないんだろう」と鼻で笑い、「出来損ないのお前と結婚したことが俺の人生の汚点だよ」と私に嘆いてきました。
その言葉を聞いた瞬間、私は離婚を決意しました。息子も私の決断に同意してくれたので、私は密かに家を出る準備を始めたのです。
夫は私が自分より稼いでいることにも、家計の大部分を私が担っていることにも気づかず、「俺はいつでもお前らを捨てられるんだぞ」といつも言っていましたが……。
息子の大学の合格発表の日
数カ月後、息子の大学の合格発表の日。私が「合格したよ」と伝えると……。
「どうせ三流大学だろ?」
「本当は俺の子か? 出来が悪すぎて恥ずかしいわ」
夫は、そう言ってヘラヘラ笑いながら、真剣に話を聞かず、息子に「おめでとう」のひと言すらないのです。
私が静かに「東京大学だよ」と告げると、夫は「は?」とムッとした表情をして「大学名に東京って入っているだけだろ? あいつが東大に行けるわけないもんな。恥ずかしいから外で大学名を言うなよ」と。
そんな夫の言葉に私は心底あきれ、記入済みの離婚届をテーブルに置き、「離婚してください」と告げました。
慌てる夫に、私は今後の生活にまったく困らないこと、私の収入のほうがずっと高いことを説明しました。家事も育児も、家計もすべて私に丸投げし、無関心だった夫は、そのとき初めて、自分が私たちを養っていたわけではなかったという現実に直面し、言葉を失っていました。
遅すぎた謝罪の言葉
1週間後、事態の深刻さにようやく気づいた夫は、突然息子に最新のゲームなどを買い与え、「もっと欲しいものはないか? 合格祝いに何でも買ってやる」と機嫌を取り始めました。
しかし、息子が幼いころから、何かにつけて「優秀な俺に似なくて残念」「お前は出来が悪い」と見下すような言葉を口にしていた夫。もう今さら何をしても遅いのです。
息子は「今まで俺のことをバカ息子って見下してきたこと、母さんにひどい言葉を浴びせてきたこと、俺は一生、許せません。母さんを自由にしてあげてください」と冷たく突き放しました。
焦った夫は私にも「定時で帰るから久しぶりにデートでもしよう」「一番バカだったのは俺です」と泣きついてきました。「周りの……親戚からの評価が気になって、つい焦ってひどい言葉を言ってしまった」と言い訳を重ねる夫に、私は「私たちを先に見捨てたのはあなただよ。家族を平気で見下す夫は必要ない」と告げ、そのまま息子と共に家を出ました。
その後、弁護士を通じて話し合いを進め、家を出てから1カ月ほどで無事に離婚が成立しました。その後、私は息子と2人で私の実家で生活し、今は私も息子もそれぞれひとり暮らしを始める準備をしています。一方の元夫はすっかり気落ちし、仕事も休みがちになっていると義母から聞きました。
現在、息子は念願の大学生活をスタートさせ、自分の夢に向かって日々勉学に励んでいます。私も家族のための家事や子育てがひと段落した今、仕事に邁進し、とても充実した日々を送っています。
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妻や子どもを自分の見栄やコンプレックスを埋めるための道具にし、日常的に見下すような態度はとても許せるものではありませんね。一番身近な家族を尊重できず、自分の非に気づいたときにはすでに手遅れ……そんな事態を招かないためにも、どんなときも相手への敬意を忘れず、日々の言葉選びや感謝の気持ちを大切にする生き方をしていきたいですね。
【取材時期:2026年4月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。