私の仕事に向けられた偏見
私と姉は小さいころから仲が良く、実家を出てからも2人で暮らしていました。姉は看護師で、学生時代から交際していた2歳年上の彼と婚約。義兄になる彼は医師で、仕事にも姉にも誠実な人です。私にとって、2人はずっと憧れのカップルでした。
ただ、ひとつだけ気がかりなことがありました。それは、彼の妹であるA子の存在です。最初は感じよく接してくれていたのですが、私が清掃の仕事をしていると知った途端、態度が変わりました。「清掃員が身内になるなんて恥ずかしい」「医者の義理の妹が清掃員って(笑)」などと言ってきたのです。
姉と義兄に迷惑をかけたくなくて、できるだけ受け流していたのですが、ある日、温厚な姉がついに声を上げました。
「私の妹をそんなふうに言うのはやめてください。清掃によってたくさんの人の毎日が支えられていますし、立派な仕事ですよ」
姉の言葉でA子は静かになりました。しかし姉の結婚式当日、思いがけない出来事が起こったのです。
結婚式当日、心ない言葉をかけられて…
結婚式当日、式場の入り口付近に、A子と彼女の母親が立っていました。あいさつをして中へ入ろうとすると、2人は「待ちなさい」と私を呼び止めました。そして、
「今日がエリート医師の結婚式だってわかってるの?」
「清掃員なんて、うちの息子の式にふさわしくない。悪いけど帰ってくれない?」
と言ってきたのです。
姉の大切な日を台無しにしたくなくて、私は必死に怒りを抑えました。それでもさすがに黙っていられず、言い返そうとしたそのときです。姉と義兄が、慌てた様子でこちらへ駆け寄ってきました。
そして義兄は怒りに満ちた表情で、「失礼にもほどがある。職業で人を見下すなんて、家族としても医師としても見過ごせない」と、母と妹を厳しく叱りつけたのです。
義兄が放った言葉とは
ふてくされるA子と母親に、義兄はさらに続けました。
「うちの病院は、彼女の清掃会社に支えられているんだよ。患者さんやスタッフが安心して過ごせるのは、彼女たちが病院をきれいにしてくれてるおかげなんだよ!」
実は私は、清掃会社を経営しています。もちろん、経営者だから偉いという話ではありません。現場で働く人も、管理する人も、それぞれの役割があって成り立つ仕事です。だからこそ、職業だけで人を判断されることが、どうしても悲しかったのです。
A子と母親は「えっ、経営者なの!?」と驚愕していました。私は義兄の言葉に胸が熱くなりながら、「ありがとうございます。私は仕事に誇りを持っています」と伝えました。
胸を張れる仕事
義兄は、2人に向き直りました。
「人の仕事を笑う前に、自分たちの言動を見直してほしい。どんな仕事にも、その仕事を必要としている人がいる。A子だって、自分の生活を父さんに頼っている部分があるだろ。母さんだって、いろいろな人の仕事に支えられて暮らしているはず。それなのに、誰かの仕事を下に見るようなことを言うのは間違ってる。これ以上、彼女に失礼なことを言うなら、式には出席してもらえない。外で頭を冷やしてきてほしい」
その言葉に、2人は何も言い返せませんでした。結局、A子と母親は式への出席を控えることに。式は少し慌ただしい始まりになったものの、姉と義兄は多くの人に祝福され、無事に結婚式を終えました。
その後、A子は父親から呼び出され、これまでの言動について厳しく叱られたそうです。母親にも同じように注意があり、「家族として恥ずかしい行いだ」と伝えられたと聞きました。しばらくして、2人から姉と義兄に「妹さんに謝りたい」との連絡があったらしく、義兄は「言葉だけでなくこれからの行動で示してほしい」と伝えたとのことです。
一方、現在の私は、毎日元気に仕事に励んでいます。清掃は、人々の暮らしや健康を支える重要な仕事です。これからも現場の声を大切にしながら、誇りを持って会社を支えていきたいと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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