相手の家にも同い年の女の子がいて、娘たちはすぐに仲良くなりました。送り迎えや保育園の行事で顔を合わせるうちに、自然と親同士も会話をするようになったのです。
まさかその出会いが、人生を大きく変える原因になるなんて、このときの私は想像もしていませんでした……。
運動会で距離が縮まったママ友
そのママ友と本格的に言葉を交わしたのは、保育園の運動会でした。
「娘から聞きましたよ〜。おうち、お庭が広いんですって?」
「すごいですね~! ぜひ遊びに行かせてください!」
あいさつを交わした直後、そのママ友は笑顔でこう言ってきたのです。さらに、「ご主人、お仕事かなり忙しそうですよね?」と、ほぼ初対面とは思えない距離感で家庭のことを聞いてきました。
私も夫も少し戸惑いましたが、子ども同士が仲良くしていることもあり、その場では当たり障りなく会話を終えました。
その後、「これからもぜひ仲良くしてください」と言われ、連絡先を交換する流れになったのです。
少しずつ変わっていった夫
それからしばらくして、夫の様子に違和感を覚えるようになりました。
以前は休日になると家でゴロゴロしていることが多かったのに、急に外出が増えたのです。スマホを肌身離さず持ち歩くようになり、メッセージが届くたびにうれしそうな顔をしていました。
「ちょっと出かけてくる」
「会社の付き合いだから」
そう言って家を空けることが増え、生活費とは別にお金を求められることも。不審に思って理由を聞いても、露骨に不機嫌になるだけ。次第に夫は娘にも冷たくなり、家族で会話する時間も減っていきました。
そのころの私は、「気のせいかもしれない」と自分に言い聞かせていました。しかし、心のどこかでは、もう気づいていたのだと思います。
偶然見てしまった光景
ある休日のこと。買い物帰りの私は、夫があのママ友と腕を組んで歩いている姿を見てしまったのです。
楽しそうに笑い合う2人を見た瞬間、頭が真っ白になりました。
「ちょっと、何してるの!?」
私が声をかけると、2人は一瞬驚いたものの、すぐに開き直ったような態度を取り始めました。ママ友のほうは、勝ち誇った笑みを浮かべて、私にこう言ってきたのです。
「あ~ぁ、バレちゃった」
「あなたの旦那さん、私に夢中だから♡ ごめんね?」
夫とママ友は、完全に2人の世界。埒が明かないと思った私は、ママ友の旦那さんも交えて話し合おうと提案しました。
意外にも2人はすんなり了承。後日、話し合いの場を改めて設けましたが……2人はまったく悪びれる様子がありません。
「もうお前に気持ちは戻らないと思う」
「運命の相手がようやく見つかったと思ってる」
そんな言葉を並べる夫を見て、私は完全に気持ちが冷めました。ママ友の旦那さんも同じだったようで、その場でお互い離婚の方向で進めることになったのです。
離婚後に届いたメッセージ
離婚成立後、娘との新生活を始めた私。精神的にはつらかったものの、家の中の空気は以前よりずっと穏やかでした。
そんなある日、例のママ友から突然メッセージが届いたのです。
「経営者の彼を奪っちゃってごめんね? 離婚後の生活、大変じゃない?」
「でも、彼は私を選んだの。悪く思わないでね!」
最初は、彼女が何を言っているのかわかりませんでした。しばらく悩んで、ようやく私はある可能性に思い当たったのです。
「もしかして、元夫が経営者だと思ってる?」
どうやら彼女は、わが家の住まいや生活ぶりを見て、“元夫が経営者”だと思い込んでいた様子。
しかし、実際に会社を経営していたのは私で、元夫は一般企業に勤める会社員でした。
その事実だけを淡々と伝えるメッセージを送ると、数分後に次々と短文の返信が送られてきました。
「え…? どういうこと?」
「だって彼、自分で会社やってるって……」
どうやら元夫は見栄を張って、自分が経営者だと話していたようでした。
嘘でつながっていた2人
後日、元夫との共通の知人から聞いたのですが、結局2人はすぐに破局してしまったとのこと。どうやらママ友のほうも、自分の実家が裕福だと元夫に話していたそうです。実際には、そこまで特別裕福というわけではなく、“経営者の恋人にふさわしい女性”と思われたくて話を盛っていたとのことでした。
結局、2人はお互いに理想像を演じ合っていただけだったのでしょう。家庭を壊してまで手に入れた関係でも、土台が嘘だらけなら長く続くことはないのだと思います。
その後、元夫から復縁を求める連絡も来ましたが、私は応じませんでした。娘との生活を守ることのほうが、ずっと大切だったからです。
あのときは裏切られた悲しさでいっぱいでしたが、今振り返れば、離婚を決断して本当によかったと感じています。今は娘と2人、穏やかな毎日を過ごしています。誰かに振り回されることのない生活は、想像以上に心地いいものです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。