初めは“沈黙すら心地よい”と思っていた
付き合いたてのころの彼は、とにかく静かな人でした。
デート中も必要以上に話すことはなく、無言で並んで歩くこともしばしば。でも不思議と嫌な感じはなく、私はむしろ「居心地がいい」と感じていました。
「言葉が少なくても通じ合える関係って素敵かも♡」
そう思っていたのですが、付き合って数カ月が過ぎたころから、少しずつ違和感を覚えるようになったのです。
“私に興味がないのかも”と思い始めて…
たとえば、私が仕事の話をしても、「へぇ」「そうなんだ」で会話が終了。「最近どう?」と聞いても、「別に普通」と短い返事だけ。こちらから話題を振らないと、会話が広がることはありませんでした。
最初は、「口下手な人なんだろうな」と思っていました。でもある日、彼と共通の友人たちを交えて食事をしたとき、私は驚いてしまったのです。
その日の彼は、私と2人でいるときとはまるで別人でした。自分から話題を振り、友人たちとテンポよく会話を続け、楽しそうに笑っていたのです。
私は思わず、「こんなにしゃべる人だったんだ……」と戸惑いました。
もちろん、相手によってテンションが変わるのは自然なことです。でも私の中では、“彼は無口な人”という認識だったため、どうしても引っかかってしまいました。
私にはそこまで興味がないだけなのかもしれない――。そんな不安が、少しずつ心の中に積もっていったのです。
喧嘩になると「別に」の一点張り
そんなモヤモヤを抱えたまま過ごしていたある日、私は思い切って、「最近、ちゃんと会話できてない気がする」と伝えてみました。
すると彼は黙り込み、「別に」「大丈夫」としか返さなくなったのです。目も合わせず、スマホを見たまま。「怒ってるの?」と聞いても、「別に」の一点張りでした。
その後も、少しでも気まずい空気になると、彼は完全にシャットダウンするようになりました。メッセージを送っても既読スルー。電話にも出ない。「今は考えたくない」と言われ、話し合いそのものを避けられるようになっていったのです。
私は次第に、「また彼を黙らせてしまうかも」と怖くなり、自分の本音を飲み込むようになっていきました。
でもある日、ふと気づいたのです。「私、この関係を続けるために、ひとりで頑張り続けてない?」――そう思った瞬間、それまで張り詰めていた糸がぷつんと切れたような気がしました。
私はその後、静かに彼との関係を終わらせました。当時の私は、“沈黙=穏やかさ”だと思い込んでいました。でも言葉にしないことで問題から逃げ続ける関係は、少しずつ相手の心を削っていくのだと痛感しました。
もちろん、無口なこと自体が悪いわけではありません。ただ、本当に大切なのは“うまく話せること”よりも、“向き合おうとしてくれる姿勢”なのだと、今は強く感じています。
著者:桐島千夏/40代女性・母子家庭のママ。フリーのライターとして活動中。恋愛をはじめ、過去の体験談などを執筆している。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年8月)
※AI生成画像を使用しています
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