「◯時△分の新幹線に乗りたい!」慌てて乗車
私は40代。数年前から持病を抱えており、もう3年余り遠くにある大学病院に通っています。大学病院は、住んでいる街からはやや遠く、車ではなく新幹線を利用して通っています。着いた駅から病院までは、バスかタクシーを利用。交通費を考え、なるべくバスを利用しますが、診察が終わるころは、ちょうどよい時間のバスがないこともあり、そのときは毎回タクシーにお世話になっています。
そんなある日、診察が終わり時計を見ると、帰りの新幹線の発車時刻が迫っているではありませんか! 「もう、間に合わないかも」と思いつつ、慌てて病院入り口に待機しているタクシーに乗り込み、「◯時△分の新幹線に乗りたいんです!××駅まで」と伝えました。
するとドライバーは「イケるかなぁ、ギリギリかもね」とつぶやいた後、前を向き直して「車が多い時間だから裏道使うよ? びっくりしないでね!」と言い、車を急いで発車させます。ドライバーは、即座に最短ルートを選択した様子でした。
くねくねの山道を軽快に!焦る私へ気づかいも
シートベルトを締めると、車はいつも通る大通りとは逆のほうへ進んでいきます。駅と大学病院の定番ルートとはまったく違う方角。私は「無理なことお願いしちゃったかなぁ」と申し訳ない気持ちになりましたが、プロだからきっと大丈夫! とドライバーに身を委ねることにしたのです。
しばらく走ると道は狭くなり、車がすれ違うのがギリギリなほどの山道に。急なカーブがいくつも続きます。ドライバーはブレーキを巧みに使い、ハンドルをさばきながら軽快に進んでいきました。
発車時刻に焦る私の心中を察してか、「ごめんね、ちょっと怖いかもだけど許してね。必ず間に合わせるから!」と気づかってくれるひと言も。くねくね道を登ったり下ったり……。やっと民家が見え始め、私の不安が少し和らぎます。
そして、ほどなくすると見覚えのある大通りへ。私はほっと胸をなで下ろしました。「ここからは直進だからね、もうすぐだよ」とドライバーも安堵した様子。いつもよりとても早く感じました。その後も、ドライバーは見事なハンドルさばき。信号を先読みした加減速や車線変更のタイミングなど、私はドライバーの職人ワザに驚くばかりでした。
「走ったらいける!」力強い言葉背に猛ダッシュ
駅周辺は夕方とあって、とても車で混雑しています。私はやきもきしましたが、さすが地元のタクシードライバー。辺りをしっかり確認しながら、駅ロータリーに車を滑り込ませます。停車しメーターが止められたのは、新幹線の発車約5分前でした。
「はい到着! 間に合ったね」と笑顔のドライバー。私は料金を支払いながら、「助かりました! ありがとうございました」と、思わず頭を下げました。そして「走ったらいける! 転ばないようにね」というドライバーの力強いひと言。すぐに私は猛ダッシュで改札に向かい、何とか発車時刻に間に合ったのでした。
座席に腰を下ろし荒くなった息を整え、安堵感とともに感じたのはドライバーへの感謝の気持ち。一日の疲れも吹き飛び、心地よい余韻で胸がいっぱいになりました。
まとめ
タクシードライバーの鮮やかな職人ワザに救われた今回の出来事。「必ず間に合わせる」というプロの執念が、“逆転劇”を起こしたのです。私は、ドライバーの確実な仕事ぶりと、お客への思いやりに感謝せずにはいられませんでした。そして、通院という少し重たい私の日常を、少し軽やかにしてくれたような気がします。
帰りの新幹線の車窓には、夕方の鮮やかな景色が広がっていました。私は夕陽を見ながら、別れ際ほんの一瞬、ドライバーがかけてくれた温かいひと言を、何だか穏やかな気持ちで思い出していました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:琥珀乃 たびと/40代独身女性。契約社員として働く。高齢の両親と3人暮らし。珈琲とパン、甘いものが好きな食いしん坊。
イラスト:きょこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年4月)
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