「笑いものになる!」息子の好みに義父が激怒
これは、長男が4歳の誕生日を迎える1週間前の出来事です。溺愛する初孫の誕生日とあって、やたらと張り切っていた義父が「4歳になるのだから、好きな自転車を買ってやる」と言い、サイクルショップへ連れて行ってくれました。
最新モデルが並ぶ店内で、義父は長男に「何でもいいぞ。好きなものを選びなさい」と促します。あれこれ品定めしていた長男ですが、最後に目を輝かせて指差したのは、パステルピンクの自転車。「じいじ、これがいい! ピンクのこれ!」と言った瞬間、義父の顔つきが変わりました。「ピンク!? それは女の子の色だ。男ならこっちの黒か青だろう」と提案しますが、「ピンクがかっこいいもん」と長男も譲りません。すると、「情けない! 男のくせにピンクなんて選ぶのは、親の教育がなっとらんからだ!」と、義父の怒声が店内に響き渡りました。
これは、マズイ……と思った私は「でも、ハンドルやサドルは黒ですし、かっこいいと思いますよ」と説得するも、ここで強く言い返して、義実家との関係が悪くなったらどうしよう……という保身が頭をよぎってしまい、それ以上の言葉が続きません。「こんな色のものを買い与えたら、近所の笑いものだ。そんな恥をかかせるなら、1円も出さん!」と、泣きじゃくる息子を置き去りにし、義父は立ち去ってしまいました。
私は「ママは、あのピンクの自転車、すごく素敵だと思うよ」と言って息子を抱きしめます。しかし息子の「男の子がピンクは変なのかな……?」という小さな呟きに、何も言い返せなかった自分の弱さが悔しくて、帰り道は涙を堪えるので精一杯でした。
数日後、義実家で親族の集まりがありました。長男の誕生日のお祝いも兼ねていて、久々の再会となる義父の兄も出席する予定です。早くに親を亡くした義父は、兄に面倒を見てもらって育ったそうで、親代わりだった兄を大変慕って、今でも頭が上がらないそう。
到着が遅れているのか、義父の兄が姿を見せない中、宴は始まり、あちこちで親戚たちの談笑の輪が。義父も「いやぁ、先日はプレゼントを選びに行ってやったのに、孫が変な色を選んで困った」などと、酒を片手に軽口を叩いています。私はその言葉を聞くたび、隣で俯いている息子の頭を撫でることしかできませんでした。そのとき、「いやぁ、遅れてすまない」と義父の兄がやっと現れました。「やあ、兄さん」と義父が笑顔で振り返ると、一瞬言葉に詰まり、目を丸くしています。というのも、義父の兄は、目にも鮮やかなピンク色のジャケットを身にまとっていたのです。
義父の兄は、早速長男に近づいて抱き上げ、「大きくなったなぁ、誕生日おめでとう。じいじに素敵なプレゼントもらったかい?」と尋ねました。長男は「いいな、おじさんはピンクの服着られて。僕ね、ピンクの自転車が欲しかったのに、じいじは、男なのにピンクなんてダメって、買ってくれなかったんだ」と返します。それを聞いた義父は、慌てた様子で「いや、ピンクだったからさ……えっと……」と弁解しようとしますが、ピンク色のジャケットが目に入り、あとが続きません。
義父の兄は、一転険しい表情になり、「男の子だ、女の子だなどと、お前はまだそんな古い価値観に縛られているのか。私の愛車も特注のピンクだよ。色で人を判断するような、そんな狭いモノサシしか持っておらんとは情けない!」と義父を一喝します。義父は顔を真っ赤にし、ただうなだれるばかりでした。
誕生日当日、再び義父とともにショップに出向いた長男は、ピンクのかっこいい自転車を買ってもらい、うれしそうでした。
「男の子だから」「女の子だから」と性別で個性を縛ることは、子どもの感性や自己肯定感を傷つけてしまうと私は思います。私自身も、息子の味方でいたいと思いながら、義父の剣幕に圧倒されてひるんでしまったことを反省しました。義父の兄の堂々とした姿を見て、大人の顔色を伺うことよりも、子どもの「好き」の気持ちを全力で守り抜ける親であろうと、痛感した出来事でした。
著者:谷 ふみ/30代・ライター。中学校2年生と小学校5年生、6歳の3人の息子を育てるママ。仕事に家事、育児に追われる毎日。子ども達が寝静まったあと、ひとりでドラマや映画を見るのが楽しみのひとつ。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年1月)