「貧乏でしょ」見下してくるボスママ親子
ある日、娘が学校から帰ってくるなり、ポツリと「ねえパパ、うちって貧乏なの?」と聞いてきました。驚いて理由を尋ねると、どうやら同級生の男の子とその母親から、心ない言葉をかけられているというのです。
その母親は、学年でも有名な「ボスママ」。夫が有名企業で働いているらしく、いつもブランド品を身につけては周囲に自慢しているそうです。そんな彼女のターゲットになったのが、いつもシンプルな身なりの娘と私でした。
ボスママは習い事がある日などに学校へ子どもを迎えに来ているようで、親子そろって娘に向かい、「お前、いつも同じ服だな!」「父子家庭で貧乏なんでしょ。可哀想に〜」と笑いながら言ってくるのだとか。娘は「うちは貧乏じゃないよ! 旅行もしてるし、習い事もしてるよ」などと言い返したそうですが、ボスママは鼻で笑うだけ。
しかも、周りに人がいないときを狙って言ってくるそうです。娘は今のところそこまで気にしていない様子でしたが、これ以上続くようであれば、担任の先生に相談しようと思っていた矢先……。
大雨の日、予期せぬタイミングでお迎えに
その日は朝から天気が悪く、午後には土砂降りの大雨になりました。さすがにこの雨では危険だと思い、ちょうど学校の近くにいたこともあって、私は車で学校まで迎えに行くことにしました。
実はその日、私は取引先との会議があり、いつものラフな格好ではなく、きちんとスーツを着ていました。さらにその日は、趣味で購入した高級スポーツカーを点検に出す予定があり、しばらく乗れなくなる前に少し走らせておこうと、たまたまその車に乗っていたのです。おまけに、会議に同席していた会社の部下も同乗しており……。
「こんな派手な車で学校に行ったら目立つかな……」と少しちゅうちょしましたが、雨に濡れる娘を待たせるわけにはいきません。私はそのまま学校の校門へと車を走らせました。
いつもと違う私を見たボスママ親子は…!?
校門前には、雨宿りをしながら子どもを待つ保護者たちがちらほら。その中には、例のボスママ親子の姿もありました。彼らは娘を見つけると、気のせいかどこかニヤニヤしているように見えます。
そこへ、低いエンジン音を響かせながら、私のスポーツカーが到着。助手席から降りた部下が、「傘、使いますか?」と気を利かせて傘を差し出してくれました。私がスーツ姿で車から降り立つと、娘がパッと笑顔になり、「パパ!」と駆け寄ってきました。
「え……っ!?」娘の言葉を聞いた瞬間、ボスママ親子は完全に固まりました。普段の地味な私からは想像もつかない車、パリッとしたスーツ姿、そして気遣いのできる部下の存在。あまりのギャップに、ボスママは信じられないものを見るような目でこちらを凝視し、顔を真っ青にしていました。
いつも娘をバカにしていた同級生の男の子も、目を丸くしてポカンと口を開けたまま、何も言えずに立ち尽くしています。
あの日を境に…ボスママ親子の態度が一変
実は私、実家が経営するグループ企業の役員を務めています。収入は決して少なくありませんが、そんな事情を周囲に言いふらす必要もないと考えていました。
私はあえて彼らには何も言わず、娘の肩を抱き、「雨がすごいね。今日は車で帰ろうか」と微笑みかけました。そして、そのまま学校を後にしたのです。
後日、娘から聞いた話によると、あの日以来、ボスママ親子はすっかりおとなしくなったそうです。どうやら、失礼なことを言われていたのは私たちだけではなかったようで、彼女は次第に孤立してしまったと、風のうわさで聞きました。
娘は今、楽しそうに学校生活を送っているようなので、これからも温かく見守っていきたいと思っています。
◇ ◇ ◇
今回のように、見えている一面だけでは、相手の事情まではわからないもの。特に子ども同士のやりとりには、大人の言動や価値観が影響することも少なくありません。大人こそ思いやりを忘れず、子どもたちが安心して過ごせる環境をつくっていきたいですね。
【取材時期:2026年5月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。