しかし、夫からは「忙しいから遅くなる」と素っ気ない返事があるばかり。仕方なくメッセージで診断結果を告げると、返ってきたのはふざけた様子で茶化す言葉でした。
夫は「気持ちの問題じゃない?」と軽い調子で受け止めているようで、真剣に取り合おうとしません。
私がショックを受けていると伝えても、「仕事があるから」「養うために働いているんだから辛抱して」と言い訳をするばかりで、私に寄り添おうとする姿勢はみじんも感じられませんでした。
お見舞いに来ない夫
その後、私は詳しい検査と治療のために入院することになりました。夫は「お見舞いに行く」と約束したものの、1週間の入院期間中、結局一度も姿を見せないまま……。
退院後、夫に約束を破った理由を尋ねても、「仕事のトラブルがあった」「俺が行ってもできることはない」と言い訳を並べるばかり。
これまで夫を必死に支えてきたつもりでしたが、私が一番不安で心細いときに見放すような夫の冷たい態度に、私の心の中で不信感が一気に募っていきました。
夫の裏の顔
そんな中、夫の態度の裏に何かあると確信した私は、夫婦で共有しているノートパソコンを調べました。すると、スマートフォンと同期された通信アプリの中に、不倫相手との親密なやり取りが残されていたのです。
私は機械に疎く、普段からパソコンを使うことはほとんどありません。だからか、夫は油断したのでしょう。夫は私の入院を都合よく利用し、不倫相手と毎日のように会っていました。
それを見た私は、離婚を決意。証拠を集める時間を稼ぐため、そして夫の本性を引き出すために、あえて「検査の結果、余命半年と言われた。すぐ再入院になる」と嘘の重い事実を告げました。
夫はショックを受けたふりをしていましたが、その裏で恐ろしい計画を立てていたのです。
誤爆メッセージ
私が治療のため再入院した当日のこと。夫は不倫相手へ報告するつもりで、信じられないメッセージを送信しました。
「やっと嫁が入院した。余命半年だって! 葬儀が終わったら速攻再婚しよう。保険金も入るし堂々と一緒になれる」という、おぞましい内容です。
しかし、夫は浮かれるあまり、送信先を完全に間違えていました。そのメッセージが届いたのは、不倫相手ではなく、夫の実の母親、つまり義母のスマートフォンだったのです。
激怒した義母はすぐに夫へ電話をかけました。慌てた夫は「新しく入れたアプリの誤作動だ」「スパムメッセージだ」などと苦しい言い訳を重ねました。
さらに、不倫を認めた後ですら「妻が病気を理由に家事をしないからストレスが溜まっていたんだ」などと被害者ぶって、自らの行いを正当化しようとしたのです。
実はそのとき、義母は病室にお見舞いに来てくれていました。義母と私は、スピーカーフォン越しに流れる夫の身勝手な言い訳を、隣同士ですべて一緒に聞いていたのです。
夫の末路
この会話の録音は、動かぬ証拠になりました。退院後、私はさっそく弁護士を通じて、夫と不倫相手の双方に慰謝料を請求する内容証明郵便を送付したのです。
すると、慌てた夫から「不倫相手とは別れた。最期まで支えるからやり直したい」と懇願する連絡が入りました。そこで私は、冷徹に現実を突きつけました。
「余命半年というのは嘘です。手術は無事に成功しました。離婚してください」
夫は絶句していました。さらに、私がノートパソコンのデータから、「余命までは良い夫を演じて慰謝料を免れよう」と不倫相手に送っていた計画まで知っていると告げると、ひどく取り乱し始めたのです。
「本当に反省している! ほんの一度の過ちじゃないか!」すがる夫に対し、「二度とされたくないから離婚するんです」ときっぱり線を引きました。義両親からも完全に突き放された夫は、すっかり返す言葉を失っていました。
その後、無事に離婚が成立し、夫と不倫相手からはきっちりと慰謝料を支払ってもらいました。当の二人は金銭面で揉めに揉め、結局破局したそうです。
私の治療も順調に進んでおり、今は定期検診に通いながら、穏やかで安心できる日々を取り戻しています。
◇ ◇ ◇
長い人生、予期せぬ病気や困難は誰にでも訪れます。不安でたまらなく心細いその瞬間に、自分のことのように痛みに寄り添ってくれるのか——夫婦の真の絆は、非常時にこそ試されるものかもしれません。
苦しくて不安な時ほど、一番近くで力になってほしいものです。
【取材時期:2026年4月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。