玄関先で断り切れず家に上げると、義母は「ちゃんと家事をしてるかチェックしてあげる」と言い、すぐにキッチンへ。勝手に冷蔵庫を開けては、私が休日に用意した作り置きのおかずや冷凍食品を見つけて「こんな手抜き料理ばかりで息子がかわいそうね」「私ならもっとちゃんとしたものを作るのに」などと嫌みを言ってきます。
さらに、義実家での法事の席では私のお弁当だけ用意されておらず、あからさまな嫁いびりをされたこともありました。義母からの嫌がらせは日に日にエスカレートしていきました。
義母の過干渉と夫の無理解
ストレスが限界に達し、これ以上は無理だと思った私は、夫に相談しました。ところが、夫からは「当たり前だろ? そういうもんだろ?」という予想外の言葉が返ってきたのです。
「実家はさ、いっつも掃除が行き届いてて、メシは絶対手作りだし、母さんは家事が完璧なんだよなー。お前が手抜いて、ちゃんとやってないから毎日教えにきてくれているんだろ。感謝すべきだろ」
法事のお弁当の件についても、夫は「たまたま数を間違えただけだろ。そんなことでいちいち騒ぐなよ」と取り合ってくれませんでした。明らかに私の分だけ用意されていなかったのに、夫は義母をかばうばかりで、私の気持ちに寄り添おうとはしてくれなかったのです。
私の苦労や悲しみをまったく理解しようとしてくれない夫に、絶望しました。共働きなのに何ひとつ家事をしてくれず、私の味方になってくれない。それどころか、義母の言葉をそのまま私に押しつけてくるのなら、自分でどうにかするしかありません。
それ以来、私はひとりで義母と戦う決意を固めました。義母がいつものようにやってきて嫌みを言ってきても、黙ってうつむくのはやめたのです。
「私たちは共働きで時間がないので、便利なものは活用しないと体がもちません。私のやり方があるので、ご心配には及びません」
冷静に、かつ毅然と言い返すようにしたのです。最初は「口答えするなんて!」と激怒していた義母でしたが、私が一歩も引かずに正論を返し続けたことで、徐々にわが家への突撃訪問の頻度は減っていきました。
義実家で親戚の集まり
義母への切り返しにもだんだんと慣れてきたころ、義実家で親戚の集まりがありました。義母はここぞとばかりに私をこき使おうと、あれやこれやと見当違いな指示ばかり出してきます。
しかし、はるばる集まってくれた親戚の方々にはゆっくりくつろいでほしいと思い、この日ばかりは、我慢して働いていたのですが……。
義母が唐突に、親戚の前で「うちの嫁は本当に家事ができなくて、息子がかわいそうでね〜。だから、私がいつも教えてやってるのよ」と得意げに話し始めました。親戚の方々は反応に困っている様子でしたが、その空気に気づかなかったのか、夫も笑いながら、「母さんの言う通りなんですよ〜。こいつ、仕事を理由に手抜きばっかりで」と同調したのです。
そんな義母と夫を見て、私はもう黙っていられませんでした。親戚の前でもそんなことを言うのかと……。
「私はフルタイムで働きながら、家事もほとんどひとりでやっています。作り置きや冷凍食品を使うのは、夫が何ひとつ分担してくれないなか、毎日生活を回すためです。それなのに、お義母さんは毎日のようにアポなしでわが家に来て、勝手に冷蔵庫を開けて、ひどいことを言います。以前の法事では、私のお弁当だけ用意されていませんでした」
そこまで言うと、場の空気が一気に変わりました。最初に口を開いたのは、義母と同世代の親戚の女性でした。
「それは家事の指導じゃなくて、ただの嫌がらせじゃないの?」続けて別の親戚も、「共働きなのに、家事は奥さん任せなの? あなたは何をしているの?」と夫に向かって問いかけたのです。
青ざめて謝罪する事態に
夫はしどろもどろになりながら、「いや、俺は仕事が忙しくて……」と言い訳をしましたが、親戚たちの視線はさらに厳しくなっていきます。
「仕事が忙しいのは奥さんも同じでしょう」「母親と一緒になって妻を責めるなんて、恥ずかしいと思わないの?」「人の家に押しかけて勝手に冷蔵庫を開けるなんて、◯◯さん(義母)もどうかしてるわ」「自分がされたら嫌じゃないの?」
次々と飛んでくる言葉に、義母も夫もすっかり青ざめていました。義母は「私は息子のためを思って……」と言い返しましたが、「息子さんのためを思うなら、夫婦の生活に口を出す前に、息子さんに家事をするよう言うべきでしょう」と親戚に言われ、何も言えなくなりました。
そしてついに、義母は親戚全員の前で深々と頭を下げたのです。「……言い過ぎていたわ。何度も押しかけたり、勝手に冷蔵庫を開けたりして、ごめんなさい」夫も私のほうを向き、「俺も悪かった。母さんの言うことをうのみにして、お前の大変さを理解しようとしていなかった。ごめんなさい」と謝ってきました。
その日を境に、義母のアポなし訪問はなくなりました。夫も少しずつですが家事をするようになり、以前のように義母の言葉をそのまま私に押しつけることはなくなりました。あのとき勇気を出して本当のことを話していなければ、私はずっと「家事ができない嫁」として扱われ続けていたかもしれません。義母と夫に自分たちの言動を見つめ直してもらうきっかけになったので、はっきりと言ってよかったと思っています。
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家庭内のことは外から見えにくく、当事者が声を上げない限り、理不尽な扱いが「当たり前」として続いてしまうことがあります。我慢を重ねるだけでは何も変わらず、ときには毅然と自分の状況を伝える勇気が必要です。ひとりで抱え込まず、信頼できる第三者に相談することも大切です。必要であれば第三者に立ち会ってもらいながら事実を伝え、自分や家庭を守るための行動につなげていきたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。