ところが、予約の手続きを進めようとした矢先、夫が突然、予約は3人分で頼むと言い出しました。驚いて聞き返すと、なんと義母も一緒に新婚旅行へ行きたいと言っているとのこと。
海外に行ったことがないから良い機会だというのが夫の言い分でした。いくらなんでも親が新婚旅行についてくるなんて不自然すぎると抗議しましたが、夫は義母には逆らえないの一点張り。
「頑固な母さんは一度言い出したら聞かないから」と、私に我慢を強いてきたのです。
義母同伴の新婚旅行
部屋は別、別行動をする日を確保するなど、いくつかの約束をし、渋々3人分の予約を取った私。不本意でしたが、結婚したばかりで夫や義母と揉めたくないという気持ちが勝ってしまいました。
しかし旅行前日になっても、夫は自分の荷造りをしておらず、それどころか、腰の悪い義母の荷造りを手伝うと言って実家へ出かけてしまったのです。
海外旅行に必要な準備をすべて私に押し付け、旅行に慣れているのだから自分の分もやっておいてほしいと丸投げする始末でした。
おまけに、実家からは充電器はどうするのか、スリ対策はどうすればいいのかと、義母の質問のまた聞きのような連絡が絶え間なく送られてきました。出発前から憂うつな気持ちが拭えずにいたのです。
出発当日の悲劇
出発の朝。空港に着いたところで、私は急激な腹痛に見舞われました。冷や汗が止まらず、何度もトイレに駆け込む事態になったのです。
搭乗時間が迫る中どうしても痛みが治まらず、私は夫に「飛行機に乗るのは難しそうだから、フライトをずらそう」と連絡を入れました。そしてしばし個室に籠っていると、いつの間にか外で待っていたはずの夫の姿が見えません。
すると夫から「つらそうだから母さんとふたりで先に行ってるね! お前の分のフライトはキャンセルしておいたから治ったら追いかけてくれば? でも、無理してまで来なくててもいいから!」というメッセージが……。
母親には逆らえないしせっかくだから親孝行させてくれ、と悪びれもしない夫の態度には体の力が抜けました。楽しみだった旅行を台無しにされた怒りと絶望で、頭が真っ白になったのです。
妻の仕返し
ふらつく体を抱えながら、私はこれ以上ないほどの怒りと虚無感を感じていました。夫と義母の身勝手な振る舞いを、このまま黙って許すわけにはいきません。
私はすぐに実家の両親へ電話をかけ、新婚旅行に置いていかれた顛末をすべて話しました。事情を聞いて激怒した父が、急いで空港まで車で迎えに来てくれることになったのです。
父の到着を待つ間、私は空港のロビーの椅子に座り、冷静にスマートフォンを操作して手続きを始めました。夫と義母を追いかけるための飛行機を取るためではありません。自分が手配した現地のホテルやツアー会社に直接連絡を入れ、夫たちの予約をすべてキャンセルしました。
それらは私が社割で手配したものであり、社員である私が行かない以上、規約上そのまま利用させることはできないからです。
私を排斥した彼らが、そのまま海外で楽しい旅行を続けられるなんて許せません。これで完全に終わりにしようと心に決め、私は迎えに来た両親と共に実家へ戻り、夫が帰国する前に新居から自分の荷物を運び出す準備に取り掛かりました。
パニックになった夫
十数時間後、現地に到着した夫から血相を変えたようなメッセージが入りました。
「ホテルの予約がないって言われた!どういうことだ!」慣れない海外で電車を乗り継ぎようやく辿り着いたホテルで、チェックインを断られたのでしょう。
私は淡々と、自分がすべてキャンセルした事実を伝えました。
それを聞いた夫は「言葉がわからないから交渉もできない。どうすればいいんだ!」とパニックに。私は、自分で探すよう突き放しました。治安を考えると野宿は難しく、ホテルを探すのは簡単ではないでしょう。
さらに私は「離婚してください。もう関わらないことにしました」と決定的なメッセージを送信。夫は「頼むから助けてくれ」と懇願してきましたが、助けるつもりなどありません。私は画面を閉じて、夫や義母の連絡先をブロックしました。
親孝行旅行の顛末
後日聞いた話では、夫たちは空港のベンチで不安な一夜を明かし、翌日ようやく見つけた劣悪な宿で過ごす羽目になったそうです。言葉もわからず観光どころではなく、義母は不機嫌になり、親子で険悪なまま帰国しました。
帰国した空港のロビーでは、私の父が待ち構えており、夫は平謝りだったと聞いています。
弁護士を通じて慰謝料をきっちり請求し、離婚は無事に成立。夫の支払いを肩代わりした義母は貯金を切り崩し、今ではすっかり夫に依存する生活を送っているそうです。
私は彼らと完全に距離を置き、今は実家で穏やかな日々を取り戻しています。
◇ ◇ ◇
新婚旅行は夫婦水入らずで楽しむ特別な時間。義母には遠慮してもらいたいというのが正直なところではないでしょうか。せめて夫には妻と親の間で中立の立場でいてほしいですよね。
結婚において最も大切なのは、パートナーである奥さんを大切にすることではないでしょうか。どんなときも互いを一番の味方として思いやり、寄り添い合える関係でありたいですね。
【取材時期:2026年4月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。