治療が始まって半年が経ったころ、治療の副作用で体が重く、家事もままならない日が増えていました。そんなある日の夕方、体調不良で横になっている私に向かって、夫は突然「離婚してくれないか」と切り出したのです。
私の病気がわかってからずっと考えていたと言い、闘病生活のサポートはもう限界だと夫は言います。
思ってもみない申し出に、強いショックを受けました。夫は、病気になる前から私への愛情は冷めつつあり、献身的に支えることなどできないと冷たく言い放ちました。
知らなかった夫の本性
さらに話し合いを続けるうちに、夫の冷酷な本性が明らかになってきました。夫が私の病状についてあれこれ質問していたのは、心配からではなく「家系としての損失」や「自分が負う労力」を計算していただけだったのです。
そのうえ、夫は私がもうすぐ命を落とすものだと勝手に決めつけていました。どうやら、私が実母と話していた「余命2カ月」という言葉を立ち聞きしたようです。
愛情がないなら別れるのは早いほうがいい、時間を無駄にしたくないと見下すような態度をとる夫に、私は言葉を失い、深い絶望と怒りが湧き上がってきました。
最低な夫
翌朝になっても夫の態度は変わりません。離婚を急かす夫に、私は財産分与をきっちり半分にするなら応じると伝えました。
しかし夫は、余命わずかな私にお金は必要ないだろうと鼻で笑い、さらには「余命わずかなんだから、お金は必要ないだろ? 今まで愛情がないのに尽くしてきた俺にくれるのが筋ではないか」と信じられない要求をしてきたのです。
あまりにひどい態度だったので、夫を強く問い詰めると、職場の後輩と不倫関係にあり、私が亡くなった後にその相手と再婚する約束までしていると白状しました。
最低な話ですが、余命宣告をされた私にはもう何を言っても良いと考えたのでしょう。私の命が尽きるのを心待ちにし、財産まで奪おうとする夫には、もはや怒りしかありません。
そこで私はある事実を伝えることにしました。「あなたが立ち聞きした余命の話は、ご近所さんが飼っている猫のことです」
夫は顔面蒼白になりました。私は命を落とすつもりなどないこと、そして身勝手な不倫と暴言の数々を決して許さないことを夫に伝えました。
焦った夫は何も言い返せず、乱暴にドアを閉めて家を出ていったのでした。
夫への逆襲
私は、ただ泣き寝入りするつもりはありません。不当な要求を跳ね除け、きっちりと線を引くためにすぐに行動を起こしました。
まず、義両親に電話をかけ、夫が病気の妻を見捨てて不倫をしていること、さらには私の財産を不当に奪おうとしている事実をすべて報告しました。
その後、夫の話から不倫相手である後輩を特定し、SNSからコンタクトを取ることに成功。余命宣告が勘違いであること、そしてこれ以上不貞行為を続けるのであれば法的な措置をとることを冷静に伝えると、彼女はひどく動揺し、慌てて保身に走るような態度を見せました。
見当違い夫の謝罪
ひどい雨が降っていたその日の夜、夫から電話がかかってきました。義実家に逃げ帰っていた夫は、事実を知って激怒した義父からこっぴどく叱責され、家から追い出されたというのです。
財布も持たず、ずぶ濡れになって駅に取り残された夫は、私に助けを求めてきました。不倫相手にも連絡したようですが、私が告げた“法的な措置”を恐れた彼女はすでに着信拒否をしていたようです。夫は見捨てられていました。
自業自得の状況に陥ってもなお、「財産分与の割合を増やすから慰謝料の請求はやめてくれ」などと見当違いな交渉をしてくる夫に、私の心は完全に冷え切っていました。
「あなたが私を愛していないように、私もあなたへの情は病気と一緒に消し去りました」
私ははっきりと告げ、これ以上の交渉の余地はないと電話を切ったのでした。
夫の末路
その後、私はすぐに弁護士に依頼し、離婚協議を進めました。不倫の事実とこれまでの経緯が考慮され、財産分与や慰謝料の支払いなど、私にとって納得のいく形で現実的な決着がついたのです。
夫は会社でも不倫相手への付きまといが問題視され、居づらい立場になったと聞いています。
現在、私は治療の甲斐あって、無事に一連の治療を終えることができました。再発への注意は必要ですが、心安らかな毎日を過ごしています。
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夫婦のどちらかが病気になったとき、一番大切なのは「お互いに支え合うこと」ではないでしょうか。不安や苦しみをひとりで抱え込むのではなく、一番近くにいるパートナーに素直に頼る。そして、頼られた側も「一緒に乗り越えよう」とやさしく寄り添い、お互いの弱さを補い合う関係が理想ですね。
つらいときこそ手をしっかりと握り合い、一番の味方として心の支えになれる関係でありたいものです。
【取材時期:2026年4月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。