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兄夫婦が他界し旅館を継ぐことに。遺された双子の姪「旅館をなくさないで!」引き取り育てた数年後!?

兄夫婦は旅館を営んでおり、僕も近くに住みながらその仕事を支えてきました。幼い双子の姪たちとも家族のように過ごしていましたが、ある日、兄夫婦が交通事故で突然亡くなり、姪たちが遺されてしまったのです。

兄夫婦の旅館を守ると決めて

兄夫婦の葬儀の日、僕は従業員たちと参列していました。悲しみの中、立ち尽くしていると、兄嫁の友人であるA子さんから「あの子たちを残して逝ってしまうなんて……。これからあの子たちはどうなるのでしょうか」と声をかけられました。

 

僕は「両親も高齢ですし、親族とも相談した上で、できれば僕が支えていくつもりです」と答えました。そこへ双子が駆け寄ってきて、「おじちゃん、旅館を継ぐんだよね?」「なくならないよね? おじちゃんも一緒にいてくれるよね?」と不安そうに訴えてきたのです。

 

実は少し前、近隣で大きなホテルを経営する人物から、「あれだけ老朽化した旅館を維持するのは大変でしょう。うちで買い取りましょうか。取り壊して建て替えることにはなりますけど」と持ちかけられていました。

 

「パパとママと暮らした旅館をなくさないで!」とすがるふたりを見て、僕は覚悟を決めました。その後、親族や関係先と話し合い、双子を引き取り、旅館を守る道を選んだのです。

 

成長した姪たちと直面した現実

数年後、双子は18歳になり、本格的に旅館を手伝うようになりました。姉はSNSで旅館の魅力を発信し、地元農家とのやりとりも担当。妹は明るく丁寧な接客で、お客さんから少しずつ名前を覚えてもらえるようになっていました。

 

ただ、現実は厳しいものでした。客室では「電波がつながりにくい」「雨漏りしている」「テレビの調子が悪い」といった声が増え、設備の老朽化が深刻になっていたのです。

 

そんなとき、以前からこの旅館に目をつけていたホテル経営者が再び現れました。

 

「このままでは、いずれ維持できなくなるでしょう。うちで買い取りますよ? あなたたちにとっても悪い話ではないはずです」

 

穏やかな口調でしたが、要するに旅館を手放してほしいという話でした。その場にいた双子はすぐに首を横に振り、「ここは、私たちの両親が守ってきた場所です」「古いからって価値がないわけじゃありません!」と答えました。

 

ふたりの言葉に僕も初心を思い出し、「この旅館は売りません。ここには家族の思い出があります。僕たちで守っていきます」とキッパリ告げました。

 

そう答えたものの、資金難が解決したわけではありません。それでも僕は、できることから始めようと決意を新たにしました。

 

A子さんとの再会が転機に

そんなころ、葬儀の日に声をかけてくれたA子さんと再会しました。休暇を利用して、僕たちの旅館に泊まりに来てくれたのです。

 

話を聞くと、A子さんは飲食店で調理を担当しているのだとか。兄夫婦が亡くなったあとも、旅館のことをずっと気にかけてくれていたそうです。その後も何度か旅館を訪れ、地元の食材や古い建物の雰囲気に興味を示してくれました。そしてある日、思いがけないことを言われたのです。

 

「ここなら、地元の食材を生かした料理が作れそうです。もしよければ、私をここで働かせてもらえませんか?」

 

その後、働き始めたA子さんは、地元野菜や季節の食材を使い、旅館ならではの料理を考えてくれました。姉のSNS発信、妹の接客も重なり、口コミが少しずつ広がっていったのです。

 

1年ほど経つころには客足が戻り始め、雨漏りや客室設備の改修にも手を回せるようになりました。

 

温もりのある旅館をこれからも

一方、僕たちの旅館を買い取ろうとしていたホテルでは、利益を上げるために無人化やAI化を進めていたそうです。便利になった一方、以前のような人の温かみが薄れ、少しずつ客足が遠のいたと聞きました。

 

僕たちの旅館は、最新設備がそろっているわけではありません。それでも、地元の味、人のぬくもり、古い建物の趣を大切にし、少しずつ評判を広げていきました。

 

旅館を引き継いでから、何度も「もう無理かもしれない」と思う瞬間がありました。それでも、双子や従業員、A子さんに支えられ、僕たちはこの場所を残すことができました。

 

兄夫婦が残してくれた旅館は今、訪れる人がほっと息をつける場所になっています。これからも人とのつながりを大切にしながら、家族の思い出が詰まったこの旅館を守っていきたいです。

 

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

 

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ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

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